成長力こそが真価/佐渡S

2014年08月01日(金) 18:00


休み明けも問題なし

 例年よりちょっと時計を要した印象が残った福島。後半はタフな芝に転じてパワーのレースになった中京から、「新潟」に舞台が移って、いよいよ本格的な夏競馬。馬場硬化防止策も取られているが、梅雨時の中京、福島と比べると時計は断然速い。今年は10月5日まで、計「10週間」も開催される。

 佐渡Sは昨年から距離が変わり、昨年のこのレースは、開催が進んだ4週目の2000m(Aコース)で行われ、「前後半59秒9-58秒4」=1分58秒3で決着し、勝ったのは、今年は日曜日の札幌「クイーンS」に出走する牝馬アロマティコ(父キングカメハメハ)だった。レース上がりは34秒0。アロマティコは平坦巧者らしく外から一気に伸びて上がり33秒4での楽勝である。

 新潟になると待っていたように特別レース中心に出走馬の増えるのが関西馬。5歳馬ファントムライト(父オペラハウス)に期待したい。

 9ヶ月の休み明け、格上がり初戦。きびしい条件だが、5歳馬ながらキャリアは浅く、まだ【4-1-2-3】。これから本格化してくれる魅力が大きい。

 7月に入ってすぐ、栗東でローマンレジェンド(先週のエルムS快勝)と併せ馬で追われ、最初から見劣らないくらいだから放牧先からの乗り込み量は十分。ポン駆け【1-0-2-0】の記録があり、休み明けはほとんど苦にしない。

 祖母は名牝ダイナカール(父ノーザンテースト)。この牝系はもともと高い平坦適性も、ダート適性も備える万能型が多く、成長力こそが真価。父が欧州血脈の濃いオペラハウスなら、長い新潟の外回りの直線に向く、持続性ある末脚を秘めているはずである。ファントムライトは新潟コースを昨年の秋に経験し、1800mを1分46秒7。レース上がり34秒4の緩い流れを、この馬は直線だけの競馬に徹し、切れ味鋭く33秒5。大楽勝だった。つづく東京1600m(1000万下)を1分33秒で快勝したのが、今回も騎乗する戸崎騎手。持ち味も、秘める可能性も分かっている。休み明けの不安より、素質開花の期待のほうに注目したい。

 渋い先行力を生かして、このクラスの左回りでは毎回接戦に持ち込んでいるクイーンオリーブ(父マンハッタンカフェ)と、このコース2戦2勝のトラストワン(父マイネルラヴ)が強敵。以下、ケイアイチョウサンダノンフェニックスアロヒラニブリッジクライムが連の押さえ。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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