2014年08月12日(火) 18:00
左から、村上幹夫場長、村上百合子代表、菊池翔さん
まずは、生産・育成を行っている、ワールドファームをリポート。場長の村上幹夫さんにお話を伺いました。
赤見:こちらは生産といっても繁殖牝馬だけではなく、種牡馬としてトウカイワイルド、種牡馬を引退したクワイエットデイがいるんですね!久しぶりに会えて嬉しかったです。
村上:うちはずっと種牡馬も管理しているんです。クワイエットデイは残念ながら繁殖力の関係で種牡馬を断念せざるを得なかったですけど、功労馬として元気に過ごしていますよ。トウカイワイルドは、今年は脚をケガしてしまって種付けが出来なかったんですけど、子供たちがけっこう頑張ってくれているので、今後も楽しみですね。
性格もワイルドなトウカイワイルド
赤見:今は種牡馬はスタリオンでまとめて管理するのが主流ですけど、個人で種牡馬を管理するのは大変ではないですか?
村上:そうですね、今は青森でも個人で種牡馬を管理しているところはかなり少なくなりました。種付け作業が出来ないと扱えないので、周りからは「よくやるな」って言われます。でもうちは代々続けて来たので。ニューイングランドやオースミタイクーンも居た時期もありました。
赤見:繁殖牝馬は9頭いるということですが、ご自身所有の種牡馬以外でも種付けしているんですよね?
村上:はい。その繁殖に合った配合を考えて、うちの種牡馬がいいか、他がいいか考えてます。青森のスタリオンにも種付けに行きますけど、基本的には北海道まで行きますね。朝フェリーで行って、種付けして、その日のうちに帰って来るという感じです。
赤見:その日のうちに帰って来るんですか?!もし、種が止まってなかったら…
村上:もう一度繁殖牝馬を連れて行きますね。だから、発情の状態などかなり慎重に見極めて行きます。繁殖にとっても輸送は体力が要りますし、交通費も掛かりますから。
今は悠々自適に暮らすクワイエットデイ
赤見:それだけ大変ながらも、青森で生産を続けるメリットというのは何ですか?
村上:祖父の時代から代々この場所でやっているということもありますし、北海道よりも気候が穏やかなので、早い時期から昼夜放牧が出来るというメリットがありますね。この辺りはあまり雪も降りませんから。
赤見:現在はご家族で経営されているんですよね?
村上:そうです、両親と伯父と、高校生のアルバイトの5人でやってますね。家族なので、何でも気兼ねなく出来るのがいいです。その分、親父とはぶつかる時もありますけど、母は「またやってるな」的な感じで見てます(笑)。配合に関しても、父とああでもないこうでもないと話しますね。こういう子供が生まれるかなと想像しながら配合を考えるわけですけど、実際にはなかなか思い通りに行かないです。そこがまた面白いというか、人の考えを超えた夢ですね。
赤見:では、今後の目標を教えて下さい。
カッツミ―の肩掛けの前で村上幹夫場長
村上:やっぱり、GIですよね。あの舞台で勝つ馬を生産したいです!僕自身、実は牧場を継ぐ気はなかったんですけど、東京競馬場でGIを見てしまったら…。もう、ものすごく感動して、いつかこの舞台に…と思いました。これまでは、カッツミー(2002年ラジオたんぱ賞)とローレルアンジュ(2006年エンプレス杯)で重賞を勝たせてもらったんですけど、GIはまだないので。青森は少しずつ牧場が減ってしまって、淋しい部分もありますけど、活躍馬を出して、まだまだ頑張っていることをアピールしたいですね。
八戸市場
赤見:今回のセリは、とにかく頭数が少なかったですね。
山内:そうなんです。いつもは7月に開催するんですけど、今年はセレクトセール、セレクションセールに加えて、九州市場も7月に開催したので…。同じ時期に開催して、潰しあいになるのも困ると考えて、8月開催になりました。ただ、この時期に開催してしまうと、もし売れなかった時に参加出来るセリが、秋のオータムセールのみになってしまうんです。本当は7月に開催して、売れなかった時のために、8月のサマーセールと10月のオータムセールの二段構えにしたい生産者が多いんですよね。なので今年は、八戸市場ではなく、最初からサマーセールに登録した馬が多かったです。
赤見:36頭での開催は、不安もあったんじゃないですか?
山内:実は、50頭以下だったら開催をやめようと考えていたんです。ただ、一度やめてしまうと、もう一度再開するのが難しくなりますから。経費削減をして、なんとか開催にこぎ着けることが出来ました。首の皮一枚で繋がっていたんですけど、今日の売却率50%という数字は、生産者にとって大きな希望になったと思いますよ。頑張っていい仔を出せば売れるんだっていうことがわかりましたから。
最高額はJRAが購入したミニスタークインの580万円
赤見:生産地にとって、セリがあるというのは大きなメリットですよね。
山内:本当にその通りですね。セリが無くなってしまうと、一気に生産地の衰退に繋がってしまいますから。今回この頭数でも、たくさんのお客さんが集まって下さって、青森に期待してくれてる方がたくさんいらっしゃることがわかりました。今後もっといいセリにして、青森を応援して下さる方々に、恩返しがしたいですね。
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常石勝義
常石勝義 1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。
プロフィール
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