2014年09月25日(木) 12:00
セントライト記念でのイスラボニータの勝利は、正にそれだった。戦前から自分のレースをするだけと陣営は語っていたが、それがどういうことかレース振りから知ることができた。パドックでは久々の実戦のせいか気むずかしい面がのぞかれたが、蛯名騎手が跨るとぴたっとおさまっていた(騎手談)。そして馬込みにいても向きになることなく6番手で折り合って、静の姿勢でじっとしていた。
前方には、器用さで光るトゥザワールドがいい位置につけていたが、イスラボニータにはそれは関係ないことだったろう。「静あってこその動」で、小回りコースに戸惑うことなく、自分のレースに徹するだけだった。「抜け出すときの速さがこの馬の良さ」と言うように、イメージどおりはじけて、並ぶ間もなく先頭に立ったのだった。この「動」こそ、「静」あってのことで、孫子の兵法を見事実践してみせてくれていた。実力で負けたとは思っていない(蛯名談)ダービーの2着。皐月賞に加えてもうひとつのタイトル獲得へと、まずは順調なスタートを切ってくれた。
ローズSのヌーヴォレコルトは、注文のつかない、展開に左右されない強みを持っている。「静あってこその動」が身についているこのオークス馬の存在も大きい。さて、新潟で行われるオールカマーで、これを実践できるものはどれだろうか。何かが見えてくるような気がする。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
プロフィール
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