大野拓弥騎手(1)『大外枠に戸惑うも、大金星のスプリンターズS!』

2014年11月03日(月) 12:00

おじゃ馬します!

▲10月のゲストはスプリンターズSを制した大野拓弥騎手!

秋競馬の開幕戦、スプリンターズS。13番人気のスノードラゴンで波乱を演出したのが、デビュー10年目の大野拓弥騎手です。自身10回目のGI挑戦で、念願の初タイトル。「人馬共に人気が…」と謙遜する大野騎手ですが、その騎乗技術はかねてより関係者の間で定評がありました。今月は今大注目の大野騎手をゲストにお迎え。初回の今週は、スプリンターズSの秘話をお届けします。(取材:赤見千尋)

最終週の新潟は絶好の条件でした

赤見 スプリンターズS、スノードラゴンやりましたね! 大野騎手にとって初めてのGI制覇。

大野 ありがとうございます。やっぱりGIは違いますね。重賞を勝つのとGIでは、周りの反応も全然違います。本当、会う人会う人に「おめでとう」って言ってもらえましたし、メールや電話もすごく多くいただきました。

赤見 13番人気でしたが、レース前は「いっちょやってやる」という?

大野 いやいや、枠が決まってからは、正直そういう気持ちはなかったです。

赤見 まさかの大外枠。

大野 そうなんです。事前に(高木)先生と、「大外だけは嫌ですね」って話をしていて。内枠から、馬群の中にもぐりこんで、内で脚を溜めてそこからさばくようなイメージで話をしていたので。それで大外枠になったから、先生からすぐに電話が来ました。思わず「えぇーっ!」って(苦笑)。さすがに大外は、ちょっと極端すぎるなっていう気がしました。

赤見 それでも、あのレースぶり。どの辺で「よっしゃ!」と思いました?

大野 4コーナーを回るぐらいからいつになく手応えがあって、「これはもしかしたら」って思いました。直線を出てからも、その手応え通りにやってくれた感じです。結果的には、大外枠も良かったのかなと思います。馬場の外の走りやすいところを通れたので。

おじゃ馬します!

▲真っ白な馬体のスノードラゴンが、外から豪快にまとめて差し切り!

赤見 新潟でのGIが12年ぶりで、ファンの皆さんもかなり盛り上がりましたよね。

大野 盛り上がっていましたね。僕、結構反応が心配だったんです。人馬共にちょっとこう、人気がなかったので(苦笑)。でも、意外と反応が良くて。そういう中でウイニングランが出来たのもうれしかったです。

赤見 “ワーッ!!”ってなってました。初のウイニングランですよね?

大野 そうです。他の人が勝った時に「やっぱりいいなぁ」と思ってずっと見てきたので、自分が出来て本当に良かったです。「GIを勝ったらこういうウイニングランをしよう」とか「こういうガッツポーズしよう」とか、全然準備してなかったので戸惑いましたけど、その場になれば何とかなるもんですね。

赤見 すごくキマッてましたよ! じゃああの時は、冷静じゃなかったというか、結構興奮してました?

大野 いや、冷静な部分はあったと思います。全然涙とかもなかったですし。今までも、うれしくて涙を流したことってないんです。興奮と言うより「あぁ、ついにGIを勝ったんだな」って、そういう感じでした。

赤見 当日はご家族もいらっしゃっていたそうですね。奥様はいつも新潟に来られていたんですか?

大野 いやいや、いつもではないです。でも、奥さんの方が自信あったみたいで。ここは勝てると思って来たらしいですね。まぁ、たまたまだと思います(笑)。

赤見 すごくいいところを見せられましたね。目の前で旦那さんが勝ってウイニングランするなんて、完璧! ご自身のレース直後のインタビュー映像は見ましたか?

大野 見ました。ちょっと…、がっくり。ああいうインタビュー苦手なので、本当はしたくなかったんですけど…。極力ああいうのは避けたいなと思いました(苦笑)。

赤見 いや、避けないでください! お話聞きたいです。高木厩舎にとっても初めてのGIで、この馬にとっては初重賞勝利がGIという。

大野 そうですね。カペラSとかオーシャンSも2着だったので、どこかでタイトルを獲らせてあげたいなという思いは、厩舎も僕もあったので。それが今回のGIになりました。

赤見 また、大野騎手との相性良いですよね。8戦2勝、2着4回。それも、ほぼ重賞で。

大野 いやいや。競馬を組み立てる中でうまくハマッたんだと思うんですけど。でも、・・・

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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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