2014年11月27日(木) 12:00
マイルチャンピオンシップ3度目の挑戦で栄冠に輝やいたダノンシャークは、この最後のツメが課題だった。安田記念2度のレースを合わせマイルのGI戦ではいずれも好走しながら、なかなか勝ち切れずにいた。この夏以降のレースは、いずれもスタートが良くなり過ぎて早目に先頭に立ち、他馬の目標にされていたが、大久保調教師は、ラストが甘くなる欠点をどうカバーするかに腐心していた。なんとかスパッと差し切る競馬ができないものか、テン乗りの岩田騎手の騎乗に全てがかかっていたのだった。前半に速い脚がある馬は、その脚を後半に発揮することが可能という考え方は以前からあった。あせらずじっくり調整できたというダノンシャークには、継続的な努力こそ力になるの言葉が当てはまっていたが、「百里を行く者は九十を半ばとす」で「最後のツメ」がどうなるかだ。
内ラチ沿いの進路を確保すると、その前方に有力馬の一頭のフィエロがいた。これは好運で、これが動ければ前が開く。そして、思い通りフィエロが先頭に。追い出しを我慢した岩田騎手は、「ツメを誤らない」を実行。一瞬開いたところに一気にスパート、わずか5センチ差で悲願を達成していた。内ラチのギリギリを突けたのは好運だったが一瞬の切れ味に徹し切った「最後のツメ」が、その幸運を呼び込んだのでもあった。かつてジャパンカップで3歳馬ジャングルポケットが、完全に抜け出したテイエムオペラオーをペリエ騎手の鬼気迫るプレイで差しきったことがあった。これも、「ツメを誤らない」の強い決意を見たシーンだった。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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