年度代表馬はどの馬に?

2014年12月06日(土) 12:00


国内GI2勝馬がいない状況

 ジャパンCのエピファネイア、強かったですね。同馬が優勝したことにより、JRAは、実に1996年以来18年ぶりの“状況”に至りました。どういう“状況”かと言えば、「2月から11月までの間に、複数のGIを勝った馬がいない」というもの。もちろん、JRA主催で行われたGIってことですけどね。

 さぁ、こうなると難しくなるかもしれないのが年度代表馬の選出。2歳馬から選ばれる可能性はまずないので、チャンピオンCと有馬記念の結果次第で決まってきそうです。

 ちなみに1996年はどうなったんでしょうか? まず、当時は12月に開催されていたスプリンターズSでフラワーパークが優勝、5月の高松宮杯(現・高松宮記念)に次いで短距離GIの2冠を獲得しました。しかし、同年のGI優勝馬6頭(地方開催GIを含めると7頭)が揃った有馬記念を、天皇賞・春優勝馬のサクラローレルが制覇。こちらもGI2勝馬となり、年度代表馬の座をさらっていったのです。

 また、1987年のJRA賞創設以来、暦年のJRA開催GI勝利数が1つだけだったにもかかわらず年度代表馬に選出された馬が2頭います。93年のビワハヤヒデと97年のエアグルーヴです。

 93年は、ベガが桜花賞とオークスを制しましたが、ビワハヤヒデの菊花賞優勝+皐月賞・ダービー・有馬記念2着という成績がこれをしのぐものとして評価されました。

 一方、97年はGI2勝馬が3頭誕生した年でした。まずサニーブライアンが皐月賞+ダービーの2冠馬となり、メジロドーベルもオークス+秋華賞の牝馬2冠を制覇。さらにタイキシャトルが同年1月のデビューから破竹の快進撃で、秋のマイルチャンピオンシップとスプリンターズSを制しました。でも、年度代表馬は天皇賞・秋の優勝馬エアグルーヴだったのです。同馬はジャパンCでピルサドスキーの2着となって日本馬最先着を果たし、有馬記念でも3着に健闘。(牝馬ながら)古牡馬を相手に好走したことが、年度代表馬選出の決め手になったようです。

 そうそう、99年にエルコンドルパサーが国内不出走、仏サンクルー大賞・GI優勝、凱旋門賞2着で年度代表馬となったことは、みなさんよくご存知ですよね。これはいまだに議論の的になりますが…。

 こうした過去の例に照らし合わせてみると、やっぱり有馬記念の結果が重要みたいですね。今のところ、エピファネイアを筆頭に、これまでにGIを勝って有馬記念に出走を予定している馬が年度代表馬の最有力候補なのでしょう。

 とはいえ、今週のチャンピオンCも見逃せません。そう、コパノリッキーが勝てばフェブラリーSとの2冠制覇になるわけですから。しかも同馬は、かしわ記念とJBCクラシックでも、GI優勝経験馬を蹴散らして勝利を収めています。これだけでも、年度代表馬の資格十分だと思うんですけど。ダートホース初の年度代表馬選出なるか? これは注目です!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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