前走でようやく軌道に/白嶺S

2015年02月06日(金) 18:00


波乱の危険は十分

 きわめて難解な結果が飛び出して不思議ないのが、1600万クラスのハンデ戦とされるが、ここはフルゲートの16頭立て(除外馬も16頭)。

 驚くことに、16頭のハンデはみんな「53キロから、56キロ」に集中している。
強力な力量馬もいないかわり、逆に、かなり苦しい力関係ではないかという軽量馬もいないというハンデである。波乱の期待(危険)は十分にある。

 現在のデキの良さと、昇り調子で浮上するのは5歳セン馬サウンドトゥルー(父フレンチデピュティ)。状態絶好に近い馬も、上がり馬も見当たらないため、ここが格上がりの一戦なのに押し出されるように人気になりすぎ。そこが死角だが、ほかに魅力のある馬が少ないから仕方がない。

 3戦1勝の2歳時はレースぶりに安定感を欠いたが、3歳以降はここまで【3-6-7-4】。馬券に関係しなかった4回は、ともに0秒4差以内の「4着と、5着」なので、20戦連続して掲示板確保の崩れない馬に育ってきた。2着、3着が異常に多い詰めの甘い馬の格上がりだから、ふつうは手を出してはいけない代表格のような戦績だが、前回の中山ダート1800mがこれまでのサウンドトゥルーのイメージを一変させる好内容だった。

 後方に置かれたが、落ち着き十分の気配から、終始外を回って直線一気。2馬身差の完勝だった。差し一手で、東京以外では勝ったことのなかった同馬とすれば、先行馬くずれの展開に恵まれたとはいえ、4歳夏にセン馬になって5戦目、ようやく軌道に乗ったと思える完勝である。

 東京ダート1600mの最高時計は、このクラスに入ると平凡な1分36秒1(上がり35秒2)だが、1400mには昨年後半に1分23秒0と、1分23秒2(ともに渋馬場)があるから、時計不足の心配は少ない。今週の締まったダートなら1分35秒台中盤は楽に可能だろう。幸いなことに、ここにはダート1600mに好記録を持つ馬は1頭もいない。だから、前述のようにみんな似たり寄ったりのハンデである。

 相手は、最終的には気配のいい馬をピックアップするしかないが、ぜひ買いたいのはアールデュラン(父ハーツクライ)。ダートは4歳春以来なので人気の圏外だが、初ダートで1600m1分38秒9(上がり37秒0)で小差4着だから下手ではない。芝1600mには1分33秒台が再三あり、今週の時計勝負のダートなら一変がありえる。  もう1頭、それこそさまざまな距離やコースに出走して試行の連続だが、本質はマイラー型で、時計の速い東京ダートで一変しそうなシンゼンレンジャー(父ケイムホーム)。前回の阪神ダート1400mは1分23秒9で0秒5差の8着だが、上がりは1頭だけ破格の34秒7。こういう追い込み馬は、テン乗りでも田中勝春騎手に合う。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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