2015年02月13日(金) 18:00
その当時までは、距離体系がだいぶ違っていた。2歳時や3歳の初期に牝馬の1800-2000m出走は多くなかった。短距離戦が多かった。だから、ワンダーパヒュームや、ロンドンブリッジは、1400mまでしか出走経験がなかったことで、距離延長が心配された1600m未経験馬である。
そうすると、逆に距離短縮になる1800-2000mしか出走していないルージュバックのような馬が桜花賞で勝ち負けするのは初めてではないのか? いないのでは? と想像することができる。前身の1940年代前半の「中山四歳牝馬特別1800m」当時は別に、1947年に競馬が再開され、京都1600mから始まった現在とほぼ同様の桜花賞では、ここまで68年間、距離1800m以上の経験しかない馬が桜花賞を勝ったことは、一度もないのである。
1800mから1600mへの短縮など、1400mから1600mへの距離延長よりずっと楽なはずだが、桜花賞が近づくと、ルージュバックの1600m未経験は大きな話題となるだろう。
方向転換して、オークス路線に向かうのではないかの憶測もあったが、コースを東京に変えて再び「1600m」に出走してきた。かってな想像だが、ここで勝ち負けできるなら当然、桜花賞に向かえる。しかし、(十分にこなせるとは思えるが)、もし1600mでまたもたつくようなら、この東京コースに出走はやがての「オークス」展望にも通じる。そんな思惑もあるのではないか?
でもこれは、アブハチ取らずにも、2兎を追うものは1兎も得ず、にも当てはまらないだろう。必死の追い詰められてのクイーンC出走では、まったくない。ここになんと6頭も出走させるノーザンファームの生産馬であり、オーナー名は吉田勝己代表である。
改めて、もう一度1600mへの出走は陣営には多分に気楽な挑戦でもある。人気の重圧からも開放される和田竜二騎手にとっても、なんとか桜花賞の出走権利を…と前回ほど固くなるレースではない。
互角にスタートできれば、たとえ少し置かれようとあわてることはない。おそらくスタミナ能力はある。切れ味勝負を展望するのではなく、秘めるスケールと、パワー全開に徹するだけである。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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