半端ではない勝負根性/中山記念

2015年03月02日(月) 18:02


もっと強くなる可能性もある

 4歳牝馬ヌーヴォレコルト(父ハーツクライ)が、先に抜け出した5歳牡馬ロゴタイプ(父ローエングリン)のインをこじ開けて差し切った。牝馬の中山記念制覇は、1991年のユキノサンライズ(父ホリスキー)以来、24年ぶりだった。つい1ヶ月ばかり前の「きさらぎ賞」も、牝馬ルージュバック(父マンハッタンカフェ)が51年ぶりに牡馬相手に完勝している。

 相変わらず強い牝馬の時代がつづいている。この流れだと、今週の「弥生賞」のレース結果をチェックしたあと、「皐月賞」に登録する牝馬がいるかもしれない。

 ヌーヴォレコルトの倒したロゴタイプも、5着にしりぞけた同じ4歳のイスラボニータも皐月賞馬である。皐月賞には昨2014年、バウンスシャッセが牝馬として23年ぶりに挑戦しているが(11着)、牝馬の勝ち馬は、遠い時代の1947年トキツカゼ(父プリメロ)、1948年ヒデヒカリ(父ダイオライト)の2頭だけである。これは競走馬資源がまだ1000頭に達するか達しないかの時代であり、牝馬が主要レースを勝つなど当たり前の時代だった。日本のサラブレッドの生産頭数は1万頭を超えた最盛期を経て、現在は4分の3以下の6000頭台にまで減っている。競走馬資源が大幅に減少しているという観点からすると、牝馬のビッグレース制覇は競走馬の総数がいまよりずっと多かった「1980年代-2000年代」に比べ、現在の方がはるかに達成されやすい状況にある、と考えることもできる。

 たとえば、日本ダービーになると、「この世代約7000頭の頂点に立つのは……」などと形容されるが、あれは大げさ。男馬は最初からその半分である。さらには、最初からダートの短距離戦にマトを絞った配合馬を生産するのも、実際の競走体系に即した生産方法であるから、生まれた時すでに、皐月賞や日本ダービーを念頭に置く馬は、現実には2000頭くらいである。

 それに、男馬勝りの能力を秘めた牝馬の存在はいつの時代でも少しも珍しいことではない。これからも牝馬のビッグレース制覇、男馬相手のグレードレース制覇は再三生じて不思議ない。ヌーヴォレコルトの快走をみていて改めてそう感じた。

 しかし、それにしても・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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