オグリローマンがわたしの人生を変えました

2015年03月12日(木) 18:00


目の前で宣言した「本命」

 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、わたしはかつて予想をしていました。競馬記者を志してこの業界に足を踏み入れたのは21歳のとき。はじめは今のようなスタイルのライターでしたが、ヒョンなきっかけで夕刊フジさんで競馬予想を担当することになりました。

 初の予想は1994年の金杯。たまたまヒダカハヤトとステージチャンプの馬連7140円を当てまして。突然、注目されてしまったのです。それまではただの厩舎まわりをしているライターだったのに、大手町の駅に大きな広告写真が載ったり、週刊誌に出たり、テレビに出たり…。正直、わけのわからない毎日がやってきました。

 とはいえ、予想をしているかぎり、当てなくちゃいけない。何故か?わたしの予想は新聞の終面を飾るようになり…。プレッシャーも感じていました。そんな折、予想を始めたばかりの春、たまたま毎週メインの予想が当たり続けたのです。連勝を止めちゃいけない。初のクラシック予想は桜花賞。でも、その年は混戦でどれを本命にしていいかわからない…。迷いに迷いました。

 血統的にチューリップ賞を勝ったアグネスパレードに惹かれていましたけどオークス向きじゃないかな?とか、エルフィンSを勝ったローブモンタントも気になるけどこの馬の1つ上の兄はダート馬だよ?とか。悩みながら瀬戸口厩舎を訪れまして。いろいろ根拠はつけたものの、最後は“女のカン”でオグリキャップの妹・オグリローマンを本命にすることに決めました。担当の竹邑厩務員は決して彼女のことを必要以上には誉めなかったけれど、結構自信がありそうなのも垣間見えましたから。その日、初めてあったオグリローマンの目の前で「桜花賞は本命にします」と宣言したことは今でもよく覚えています。

 その週はフジテレビ系の競馬番組に呼ばれていて、予想を発表。それまで中央で勝ち鞍のなかった彼女をいちばんに推すのはまさにギャンブル。でも、彼女の前で宣言もしたし、迷いはなかったです。ここ一番に強い血統だし、オグリローマンを本命にしたら後悔しないはず。そう思えたんです。

 とはいえ、実際にハナ差で2着のツィンクルブライドを抑えて優勝した瞬間は驚いて目がまん丸になりました。そのときの様子、テレビにしっかり映っていました(苦笑)。そして、桜花賞を当てたことでメディアの取材もさらに増え、メディアに数多く取り上げていただきました。言いすぎではなく、わたしの人生が変わった瞬間でした。

 そんな歴史もあり、わたしはホント、オグリローマンには感謝してもしきれないくらい恩があります。この度の訃報はショックでしたが、担当の竹邑厩務員が「牧場の方から電話があり『苦しまず、眠るように亡くなりました』と言ってはったわ」と聞き、安らかな気持ちになりました。24歳、天寿を全うしたオグリローマン。いまでもわたしの部屋にぬいぐるみが飾ってあります。これからもずっと彼女への感謝を忘れずに頑張っていこうと思います。ありがとう、オグリローマン。

 さて、その竹邑厩務員がいま担当しているのはウインバリアシオン。このコラムにも何度となく登場していますね。今週は日経賞に向けて坂路コースで追い切りをかけました。1本サッと乗ったあと、ハロー明けの2本目。実にしっかりとした脚どりで坂を駆け上がっていましたよ。今回は牧場でもしっかり乗り込まれていた分、息も出来ています。「昨年末のようなことはないと思う」という陣営の言葉を信じます!頑張ってね。

トレセン密着

ウインバリアシオン

 先週のオーシャンS、ハクサンムーンはくるくると回っていましたね。西園師は「昨年より体調がいい。高松宮記念も(酒井)学で。実に楽しみ」と話していました。まぁ、まわらないに越したことないのでしょうが、それがこの馬のいいリズムに繋がるならと陣営はお付き合いしていくのでしょう。ホント、担当さんはたいへんそうですが…。競馬は結果がすべて。次は大きな勲章をぜひくわえて帰ってきて欲しいものです。

トレセン密着

ハクサンムーン

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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