さらに進化していたラキシス/大阪杯・ダービー卿CT

2015年04月06日(月) 18:00


エリザベス女王杯時よりもパワフルに

 2000mを2分02秒9(レース上がり37秒1)も要する不良馬場を、C.ルメール騎手を背に力強く抜け出した5歳牝馬ラキシス(父ディープインパクト)は思われていたよりはるかに強いのか? それとも長い骨折休養を経てカムバックしたキズナ(父ディープインパクト)が、期待ほどの成長力や底力を示してくれないのか? ラキシス(ルメール騎手)を祝福する歓声や拍手も湿りがちに響くような1戦だった。

 後方に控えた人気のキズナは、レースの流れが前後半「61秒1-61秒8」。レース上がりが37秒台にまで落ち込むような流れだから、別に置かれ過ぎたわけではない。レース中盤で後方3番手にいたキズナの3馬身くらい前、後方4番手にひかえていたのがラキシスであり、3コーナー過ぎのキズナは「どこでスパートしようか」、手ごたえ十分だった。

 外からスパートを開始したキズナは楽々と先行勢を捕らえにかかり、レース実況の佐藤アナウンサーも、「早くも一気に先頭に並びかけたのはキズナ。キズナが……、」と、引き離しにかかるキズナにマトを絞ってトーンを上げようとした瞬間、いやそうではない。「勝つのはラキシスだ」と切り換えなければならなくなっていた。一瞬、間をとらざるをえなかったように聞こえたほど、楽に抜け出すと思えたキズナと、その内から同じように伸びていたラキシスの逆転は強烈であり、勢いの差は歴然だった。

 最後の1ハロン「12秒8」のところで、一旦先頭に立ったキズナは、内から伸びたラキシスに2馬身も離され、脚が止まってしまった。位置取りの違いがあるから、ラキシスの上がりは「35秒9」であり、その後方にいたキズナの上がりも「36秒0」の記録になるが、ラキシスの最後の1ハロンがほぼ「12秒8」なのに対し、キズナのそれは「13秒1-2」である。ラキシスはぐんぐん差を広げている。止まったキズナは、もう脚が上がらなかった。

 角居厩舎の牝馬は、みんな強い。それぞれが狙いを定めたビッグレースで、次つぎと快走する。だが、11月のエリザベス女王杯で3歳ヌーヴォレコルトをクビだけ差したラキシスは、こんなに力強くパワフルではなかった気がする。当時と比較して10キロ増の468キロ。さらに進化していたということか。キズナをねじ伏せてしまった。

 と同時に、キズナには・・・

続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

登録済みの方はこちらからログイン

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

関連情報

新着コラム

コラムを探す