2015年05月14日(木) 12:00
この「わき出てきた想いにしたがう」ことこそが、重要なのだ。人生劇場という歌では、「やると思えばどこまでやるさ、それが男の魂じゃないか」と勇ましい。とにかく、自分を鼓舞する瞬間を迎えるには、元気でいなければならない。GIタイトルを手にする陣営には、この「わき出てきた想いにしたがう」様子が窺える。NHKマイルCのクラリティスカイにもそれがあった。朝日杯FS3着から春のクラシックを見据えるのは当然で、弥生賞から皐月賞と戦ったが、いずれももう一歩だった。友道調教師は、それでも皐月賞で逃げて5着したことを評価し、改めてこの馬の力を再認識したと語り、意欲を示していた。ただ、2度の二千米戦で距離に壁があるとの想いを持ったようだった。横山典弘騎手も、マイルなら一番力を出せるの確信はあった。つまり、両者ともこの先の目標をマイルと定め、固い決意をもってNHKマイルCに出走していたのだった。去年10月、横山騎手の手綱でのぞんだ東京のマイルの新設重賞いちょうSを、2歳レコードで勝った実績、そのとき4番手から直線で見せた二枚腰、マイルなら一番力を出せるの弾む思いは、容易に想像がつく。
混戦ムードのときは、どの馬もチャンスがあると思って戦うから、流れを崩してまで動くことはない。明きらかに緩い流れの中、クラリティスカイは5番手の内でしっかり前を見据えていた。戦況は、横山騎手の思い通りだったし、「やると思えばどこまでやるさ、それが男の魂じゃないか」とチャンスをうかがい、3戦3勝の牝馬アルビアーノが2番手から先頭に立ったところで外に出して交わしに行ったのだった。「わき出てきた想いにしたがう」には、その前提に、元気のいい前向きなこころがなければならないと教えてくれている。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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