時計以上に高いレベルの勝利/安田記念

2015年06月08日(月) 18:00


本物の強さを身につけるのはこれから

 数多くの不安を克服して破竹の4連勝を達成した4歳牡馬モーリス(父スクリーンヒーロー)の未来は、また一段と広がることになった。

 初挑戦のG1を制したモーリスは、その父スクリーンヒーローも4歳時の2008年にG1初挑戦となったジャパンCを勝っている。さらにその父グラスワンダーも、1997年の朝日杯3歳S(当時)をG1初挑戦で制している。上昇カーブに乗ると一気にビッグレースまで突き進むのがこの父系の隠れた特徴かもしれない。

 レース検討の際にもちょっと触れたが、現在と同じ「古馬は58キロ(牝馬56)」の定量になって20年、4歳馬としてこの安田記念を勝ったのは、1998年タイキシャトル(年度代表馬)、1999年エアジハード(秋のマイルCSも制覇)、2009年ウオッカ(年度代表馬)に続いて、このモーリスが4頭目である。モーリスはまだ今回が11戦目【6-0-1-4】であり、多くのチャンピオンマイラーと同じように本物の強さを身につけるのはこれからである。

 牝系ファミリーは、牝祖が輸入牝馬デヴォーニア(1925)。4代母メジロボサツ(朝日杯3歳S、桜花賞3着、オークス2着)を経て現代につづく一族であるのは知られる。このモーリスの母方に配されてきた種牡馬は、「カーネギー、モガミ、フィディオン、モンタヴァル、シマタカ、ハクリュウ、ステーツマン」とさかのぼる。少なからず趣味はきつい。

 モーリスのオーナーの吉田和美さんは、わたしがカーネギーダイアン(父カーネギー)を日本ダービーで本命にしたとき・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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