【特別対談(4)】北橋元調教師×福永騎手『技術だけではなく、器の大きな騎手に』

2015年08月25日(火) 18:01

祐言実行

▲北橋修二元調教師との対談の最終回。ここでしか言わない心からの言葉…

(つづき)

人前で言うのは最初で最後やけど…

北橋 3場開催だろうと何だろうと、今もすべてのレースの1着から5着までをチェックしてるんやけど、祐一が勝つたび、女房とビールやワインで乾杯するんだよ。だから、祐一が勝てば勝つほど乾杯の数が増える。祐一の調子がいいと、うちの家庭も明るいわけよ。

福永 はい。日曜日の夜に先生と電話で話すことが習慣になっていますが、本当にいつもよく見てくださってますよね。

北橋 もちろん。祐一のレースは全部見てるし、弟子としても家族としても応援しとる。わしが死んだら、墓参りくらい来てくれるやろと思ってるからね。

福永 そりゃあ行きますよ。もう! 何を言ってるんですか(笑)。

北橋 あんまり相談にも来ないしな…。まぁ本当に困ったときは別として。

福永 先生が引退されたあと、相談というか、弱音を吐いたことがありましたよね。やっぱり乗り馬のレベルが変わってしまって、「このまま騎手を続けていけるのかな」と悩んでいたときに、ポロッと「もう騎手を辞めて調教師になろうかな」って言ったの、覚えてます? そうしたら先生、ものすごく悲しそうな顔をされたんです。

北橋 まぁまぁ、いろんなことがあるわな。ただ、坂を下り出したときに、途中で止まるか、下まで転げ落ちてしまうか。それだけのことや。祐一は途中で止まって、また上まで這い上がってきたわけやから。人前で言うのは最初で最後やけど、祐一が頑張っているのはわかってる。努力を続ければ、もっともっと上を目指せるんじゃないかと期待しとるわけや。

福永 ありがとうございます。先生にそんな風に言っていただけるなんて、本当に珍しいですね。

北橋 わしはね、寝るときはいつもそう思っとるで(笑)。数字では確かに上のほうにおるけど、中身はまだまだや。昔からスタートの巧さは認めるけど、そこから2、3番手に行くのかと思いきや、5、6番手に下げるでしょう。馬によっては、もうちょっと前のほうでどうにかならんかなと思うわけよ。仕掛けていったら馬とケンカするかもしれないとか、そういう心配があるのもわかるけど、実際、ちょっとそういう競馬が多いな。そやろ?・・・

続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

登録済みの方はこちらからログイン

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

祐言実行とは

2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

福永祐一

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

関連情報

新着コラム

コラムを探す