2歳トレーニングセール開幕

2004年05月25日(火) 19:54

 生産地の恒例行事となった5月のトレーニングセールが24日いよいよ開幕した。この日行われたのはHBA日高軽種馬農協主催のトレーニングセール。午前8時半より新冠町の日高軽種馬共同育成公社にて公開調教、そして午後3時より隣町の静内にある北海道市場に会場を移してセールを実施した。

 上場予定馬126頭中、23頭が欠場し、実質的に103頭が上場され、45頭売却、58頭が主取というのがこの日の成績である。売上総額は税抜きで2億8622万円。昨年が46頭売却で総額2億8650万円だったことを考えると、ほとんど数字は変わらずと言っていいだろう。

 高額取引馬を名簿順に簡単に紹介すると、リトルキッス2002(父マヤノトップガン、牡)1942万5000円、オースミオーロラの14(父サクラバクシンオー、牡)1470万円、ソヴリンの2002(父オジジアン、牡)1155万円、E・Gウイナー(父エルコンドルパサー、牡)1050万円、春陽(父ダンスインザダーク、牡)1417万5000円、春宝(父ダンスインザダーク、牡)2478万円、ベルガール2002(父フサイチソニック、牡)2205万円、ポーサー14(父グラスワンダー、牝)1291万5000円。以上の8頭が1000万円を超えた。

 ちなみに昨年の同セールは1000万円以上の取引馬が7頭だったのでほとんど差のない結果だった。

 ただし、今年は韓国馬事会が3頭とJBBA日本軽種馬協会が8頭の計11頭を購買し、これらの馬たちは海を渡って韓国でデビューすることになる。韓国馬事会はすでに九州のトレーニングセールで100万円台の馬を5頭、千葉でも1頭購入しており、これで計9頭の「お買い上げ」となった。さすがに北海道では一律100万円台というわけには行かず、316万5000円、315万円、そして157万5000円と割高?の買い物になった。

 JBBA日本軽種馬協会は、今回8頭を262万5000円から472万5000円までの価格帯で購入し、九州の1頭(630万円)と千葉の1頭(315万円)を合わせて10頭となった。これらは、韓国馬事会に無償譲渡され、かの地での出走となる。来年の釜山競馬場オープンを視野に入れて、日本産馬の需要拡大を狙い、韓国馬事会の購入した2歳馬よりもレベルの高い馬を試験的に送り込むための購買だという。JBBA今原副会長によれば「これらの馬は、11月に釜山競馬場で模擬レースを行なってランク付けをされ、明年3月に馬主にせりで売却される予定」(JBBA・NEWS5月号)とのこと。

 だが、同誌の「これ(九州での5頭購買)を大きなビジネス機会の到来ととらえて、生産・育成界の活性化を期待したい」との今原副会長のコメントには、いささか違和感を持たざるを得ない。

 なぜならば、やはりあまりにも原価を無視したような価格の馬がほとんどで、これでは育成費用を差し引いた馬そのものの価格がほとんど残らないことになるから、だ。

 100万円そこそこで調教済みの2歳馬を売って、喜んでいる販売者がいるとは到底思えない。

 とはいえ、国内の(とりわけ地方競馬の)需要が減退している事情を考慮すれば、それでも「売れただけまし」ということになるのかも知れないのだが…。

 さて、25日の「ひだかトレーニングセール」(主催・ひだか東農協)の結果については次回に触れたい。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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