データ予想を難解にさせる大混戦・阪神JF

2015年12月12日(土) 12:00


全27頭中21頭に共通の上がり3ハロンのデータ

 チャンピオンズCがああいう結果(牝馬が初制覇)になると、「データ予想に何の意味があるのか?」という暗たんたる気持ちになりますね。それでも、「今年は最後までそれに徹します」と宣言したからには、折れそうになる心にムチ打って今週も続けますよ!

 またまたお断りしておきますが、データ分析は「そういう結果になりやすい」という傾向を探るもの。ですから、それを逆利用して例外馬を見つけたっていいわけです。その参考にしていただくためにも、まだまだがんばらなくちゃね。

 さて、阪神ジュベナイルフィリーズです。阪神コースが今のようになった06年以降の1〜3着馬について調べてみました。

 全27頭中21頭に共通していたのが、デビュー以来すべてのレースで上がり3ハロンのタイムがトップ3に入っていた、ということ。去年までの9回のうち、そういう馬による1〜3着独占が4回もありました。優勝馬9頭のうち、例外馬だったのは09年のアパパネ(3戦してトップ3に入ったのは1戦)だけ。あとの8頭は、どんな距離のレースを走ろうが、毎回必ずトップ3の上がりタイムをマークしていたのです。

 netkeiba.comの戦績欄で上がりタイムがすべて色付けされている馬を探してみましょう。今年のメンバーでそうなっているのは、アットザシーサイド、クードラパン、ペプチドサプル、メイショウスイヅキ、メジャータイフーンの5頭。メジャーエンブレムとデンコウアンジュなど、人気を集めそうな馬が例外馬になっちゃいますよ!

 次に、ここまでにどういうレースを走っていたか、について。東(東京、中山、新潟、福島)のレースに出走した馬が健闘しています。07年以降は毎年3着以内に入っているほか、ここ6年に限ると2頭以上来た年が4回あり、去年は1〜3着を独占しました。関東馬だけでなく、遠征経験のある関西馬も要注意です。

 また、芝1800メートル以上のレースを経験した馬の好走も目立ちます。ここ3年続けて3着以内に入っていて、12、13年は優勝。また、上がりタイムのところでは“優勝した例外馬”だった09年のアパパネも福島で芝1800メートル戦を経験済みでしたし、この年は2、3着馬にも出走経験がありました。27頭中11頭がこれに当てはまる馬です。

 ちなみに、芝1600メートル未満のレースしか経験のない馬で3着以内に来たのは5頭。この5頭の共通点は、重賞出走経験があることです。

 と書いてはみたものの、今回はすべてのレースで上がりタイムがトップ3に入っていて、東のレースを走ったことがあり、芝1800メートル戦を経験しているという馬がいません。最も近いのはクードラパン?あとは、上がりタイムトップ3に入れなかったのが1回だけのクロスコミアとウインファビラスはいかがでしょう?アレっ、だったらメジャーエンブレムとデンコウアンジュも消せなくなっちゃうじゃないですか!それだけ混戦ってことでご勘弁を!!!

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

関連情報

新着コラム

コラムを探す