2015年12月23日(水) 17:59
(前半のつづき)
メジロマックイーン、ステイゴールド、ディープインパクトをはじめ、名門池江泰郎厩舎の調教助手として数々の名馬を育て上げた池江助手。その姿は、たくさんの馬乗りの憧れだった。そんな池江助手に悲劇が起ったのは3年前。2011年2月27日をもって池江泰郎厩舎が解散し、高野友和厩舎に移ってから2年後のことである。
レース中にケガをすることが多いジョッキーとは違い、調教助手は調教中にケガを負いやすい。なぜなら、トレセンに入厩した馬に最初に乗ることが多いからだ。まだ出来上がっていない若馬で、さらに情報が少ない中で騎乗するため、大ケガの多い職業なのである。
「ある時、入厩したばかりの2歳牝馬に乗ったんです。初めてなので気を付けてはいたんですけど、乗った感じ大人しかったから、そのままゲート練習に行きました。ゲートに入れて後ろ扉をカチャンと閉めた瞬間に、ブワーっと座り込んでしまって。その時、ちょうどゲートのステップが僕の膝に引っ掛かってしまって、馬は座り込んだままパニックを起こして左右にバンバン揺れて…。だから膝が挟まったまま、馬の体と鉄のステップの間につぶされてしまったんです」
鉄で囲われたゲートの中で、競走馬がパニックを起こした時…、池江助手ほどの馬乗りであっても、競走馬を制御できない状況になる。特に経験の浅い若馬ならば、例え自分の体が傷ついてしまっても、恐怖から逃れるためにただただ暴れ続けるのである。そんな状況で、池江助手の右膝は粉砕した。
「救急車で運ばれて、医者から『これはちょっと歩けなくなるかもしれないです』ってあっさり言われたんです。でもその言葉より、レントゲン写真を見た時の方がショックでした。膝の骨がベシャって潰れていて、自分でも衝撃でしたね。あれを見た時は、本当に歩けないかもしれないと思いました」・・・
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