距離不安などまったくないはず/阪神C

2015年12月25日(金) 18:00


弱気の虫を封じ込める

 昨年、3歳の春にデビューしてここまで8戦【6-2-0-0】。連勝記録こそ夏の北九州記念の2着で、5連勝で止まったが(ベルカントに0秒2差)、まだ連対はパーフェクト。ビッグアーサー(父サクラバクシンオー)のさらなる進展に期待したい。

 6連勝ならなかった北九州記念は、勝ったベルカント(父サクラバクシンオー)の武豊騎手に「33秒6-33秒7」=1分07秒3で一気に抜け出され、インの中団でモタモタしていたから仕方がないが、ビッグアーサーは「34秒1-33秒4」=1分07秒5。先頭集団は32秒7で行っているのに、ちょっと弱気に待ちすぎた印象があった。

 前々回のオパールSは、早め早目に策を労することなく自分から進出して「33秒5-33秒2」=1分06秒7のタイレコード快勝。あれでもう、完全にビッグアーサーの能力を信じて開眼したと思えたのに、前回はインでちょっと狭くなりかけたらすぐ引いて下げ、「34秒6-32秒8」という1200mでは信じ難いバランスになって、1分07秒4。サトノルパンの頭差2着にとどまっている。

 藤岡康太騎手(27)は、今年は先週までにもう59勝もして、浜中騎手(27)や、松山騎手(25)とともに関西の若手騎手の先頭に立つ位置にいるが、いつもは積極的で果敢なはずが、ビッグアーサーに乗るとなぜか弱気の虫が出てしまう。大変な才能に恵まれた注目馬ゆえ、大事に大事にいこうとするのだろうか。父の厩舎の所属馬でもある。でも、1200mを1分06秒7でちぎって勝つ馬を、そんなに慎重に構えて下げたりしない方が馬の将来のためにもいいように思える。

 今回は、初の1400m。G2重賞。怖い相手は多いが、ビッグアーサーの未来のために、弱気の虫を封じ込めてもらおう。1番枠、変に構えて下げたりしなければラクに2-3番手におさまるスピード能力があり、距離不安などまったくないはずである。

 牝系ファミリーは、2004年のデイリー杯2歳Sなどを制し、G1「高松宮記念」を2着したペールギュント(父サンデーサイレンス)と同じ一族。

 ビッグアーサーの3代母リロイは、サンタバーバラH芝10FなどG1を2勝した活躍馬。4代母レスクスは仏オークス馬。その3代前の母ファラー(父サヤニ)が、ペールギュントの5代母にあたる。種牡馬クリスタルパレスが代表する牝系である。

 父サクラバクシンオーの父系は、1970年代から日本に根づき、ことごとくの父系が20年くらいで途絶える中にあって、間もなく半世紀も連続することになる貴重なサイアーラインである。ビッグアーサーは、ショウナンカンプ、グランプリボス…などのバクシンオーの後継種牡馬にぜひ加わらなければいけない。

 相手に、とくに買いたいのは1400m向きの穴馬タガノブルグ、半年ぶりでもダンスディレクター

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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