2016クラシック予想

2016年01月30日(土) 12:00


 日本時間の1月26日深夜、サッカーU-23アジア選手権の準決勝で日本がイラクを下し、リオ五輪への出場権を獲得した。それまでアジアではベスト8止まりで、「狭間の世代」などと呼ばれていたチームだけに、余計に痛快だった。

 競馬界に目を転じると、昨年限りでゴールドシップが引退し、呼称としてはあまり定着しなかったが、オルフェーヴル、ジェンティルドンナと合わせた「OGG三強」すべてがターフを去った。

 今後、日本の中・長距離界をリードするのは、宝塚記念と天皇賞・秋を勝ったラブリーデイ、ジャパンカップの覇者ショウナンパンドラ、そして、中山記念で復帰するドゥラメンテあたりになるのか。

 黙っていても、2月28日になれば中山記念のゲートはあくのだが、それでも、今なんとなく漂っている「狭間感」を、早くドゥラメンテに吹き飛ばしてほしいと思う。

 マイル路線には、「絶対王者」となったモーリスがいる。

 短距離界は、逆に、「絶対王者」ロードカナロアが引退してから、今なお王座は空位という感じがする。

 ダート界では、ホッコータルマエが1月27日の川崎記念を勝ち、史上初のGI10勝という金字塔を打ち立てた。ライバルのコパノリッキーも健在だし、新勢力のサウンドトゥルー、ノンコノユメ、ホワイトフーガらは、「関東勢の巻き返し」という、別の視点からの興味も駆り立ててくれる。

 そして、クラシック戦線。

 牝馬は、昨年2歳女王になったメジャーエンブレム(父ダイワメジャー、美浦・田村康仁厩舎)が頭ひとつ抜けているような印象だが、牡馬は、高いレベルで拮抗している。

 まずは、昨年の2歳王者のリオンディーズ(父キングカメハメハ、栗東・角居勝彦厩舎)と、同馬が勝った朝日杯で2着と涙を呑んだエアスピネル(父キングカメハメハ、栗東・笹田和秀厩舎)。リオンディーズは、2000メートルの新馬戦のあと、マイルの朝日杯でも伸び伸びと走っていたところに、普通ではない「能力の幅」が感じられる。エアスピネルも、例年なら2歳王者になっていておかしくない走りを披露した。これらに、ハイレベルのホープフルステークスを勝ったハートレー(父ディープインパクト、美浦・手塚貴久厩舎)を加えた「三強」と言いたいところだが、早くも群雄割拠といった様相である。

 新潟2歳ステークス以来のホープフルステークスで2着になったロードクエスト(父マツリダゴッホ、美浦・小島茂之厩舎)、東京スポーツ杯2歳ステークスを驚異的な末脚で差し切ったスマートオーディン(父ダノンシャンティ、栗東・松田国英厩舎)、京都2歳ステークスを勝ったドレッドノータス(父ハービンジャー、栗東・矢作芳人厩舎)、若駒ステークスを圧勝したマカヒキ(父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)、2戦2勝のサトノダイヤモンド(父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)、福寿草特別で2勝目を上げたロイカバード(父ディープインパクト、栗東・松永幹夫厩舎)も強い。

 ということで、現時点で、春のクラシック候補に私なりにランクづけをしてみると――。

牡馬
1)リオンディーズ
2)ハートレー
3)エアスピネル
4)スマートオーディン
5)マカヒキ
6)サトノダイヤモンド
7)ロイカバード
8)ドレッドノータス
9)ロードクエスト
10)ブラックスピネル

牝馬
1)メジャーエンブレム
2)ジュエラー
3)クィーンズベスト
4)シンハライト
5)デンコウアンジュ

 といったところか。牝馬に関しては、まだ勢力分布がハッキリしないので、6位以下には触れずにおきたい。

 なお、これは「総合力」の順位であって、「化け物感」が最も強いのは、やはりリオンディーズだ。ついでサトノダイヤモンド、マカヒキ、スマートオーディンか。

 クラシックに向けてのランキングは、こっちで評価したほうがいいような気がしないでもないが、ともかく、今年はどんな戦いが見られるのか、楽しみである。

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島田明宏

作家。1964年札幌生まれ。Number、優駿、うまレターほかに寄稿。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』(2011年度JRA賞馬事文化賞受賞作)など多数。netkeiba初出の小説『絆〜走れ奇跡の子馬〜』が2017年にドラマ化された。最新刊は競馬ミステリーシリーズ第6弾『ブリーダーズ・ロマン』。プロフィールイラストはよしだみほ画伯。バナーのポートレート撮影は桂伸也カメラマン。

関連サイト:島田明宏Web事務所

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