2016年03月25日(金) 18:00
この2頭、トーホウジャッカルの勝った3歳秋の菊花賞3000mで初対戦し、2着したのがサウンズオブアース、3着がゴールドアクター。ここまで「1勝1敗」。
トーホウジャッカル(先週の阪神大賞典を、最後は無理せずに止める形で7着)が完全復活すれば、この5歳世代の長距離タイプはもっと盛り上るが、春の天皇賞に向けて順調にスタートして欲しい。
あまりに杓子定規な検討になってしまうが、有馬記念2500mは吉田隼人騎手の会心の騎乗もあってゴールドアクターに軍配が上がったが、着差は「クビ」。同タイム1-2着。
ゴールドアクターの上がりは「34秒8」、サウンズオブアースは4コーナーでちょっとスムーズではなかった差が出ただけで、上がりは「34秒7」。まったく互角だった。
だが、今回は「GI勝ち馬2キロ増」の別定重量のため、ゴールドアクターはベースの56キロから58キロ。一方、サウンズオブアースはGIも、GIIも勝っていないから、56キロ。3000mの菊花賞ではサウンズオブアースが「3馬身半」もゴールドアクターに先着の2着しているので、断然有利はサウンズオブアースだろう。中間の乗り込み量、仕上がりの進み方もサウンズやや上位と判断したい。
サウンズオブアースと同じ牝系で、日本でもっとも良く知られるのは、今年その産駒がデビューするリーチザクラウン(父スペシャルウィーク)。09年の日本ダービー2着馬は、後年はのど鳴りもあって不振のまま引退したが、種牡馬となって名牝系の出身馬らしいところを発揮してくれるだろう。リーチザクラウンは、その4代母が名牝クリスエバート。
女子テニス界で大きな時代を築いたクリス・エバートが10代後半にプロテニス界に入ったころ誕生し、その名を受けた競走馬クリスエバートは、エイコーンSなどニューヨーク牝馬3冠を制し、繁殖牝馬となっても大成功。大きなファミリーを発展させている。種牡馬チーフズクラウンはその祖母がクリスエバートであり、チーフズクラウンの半妹が、リーチザクラウンの祖母クラシッククラウンになる。サウンズオブアースの3代母は、名前を踏襲してウインブルドンスター。4代母がクリスエバート(試合で表情を崩さず、アイスドールと呼ばれたという)になる。
クリスエバートにホイストザフラッグが配されて、ウインブルドンスター。次にセクレタリアトが配合されて祖母サンライズシンフォニー。次にディキシーランドバンドが配されて母ファーストバイオリン。底力あふれる種牡馬ばかりだが、サウンズオブアースの魅力は、母の父ディキシーランドバンド(父ノーザンダンサー)にある。この種牡馬の母の父としての影響力は素晴らしく、日本でもデルタブルース、レッドリヴェール、アメリカンボス、フミノイマージン、ストリートセンス(1年だけ供用の産駒が今年デビューする)…など。底力を伝え、距離延長をほとんど苦にしない。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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