1200mのスペシャリスト誕生/高松宮記念

2016年03月28日(月) 18:30


血をさらに存続させてくれる可能性

 1週前が渋馬場で行われていたこともあって、土曜日のレースが始まるとみんな中京の芝コースの異常な変化に気がついた。つれて高松宮記念の人気も大きく変動した。芝2000mの3歳未勝利戦、古馬500万下で2分01秒1-3が記録された段階ではあまりはっきりしなかったが、古馬1000万条件の岡崎特別は、突然、「33秒6-33秒8=1分07秒4」のレコード決着である。2ケタ着順の馬までがコースレコードの「1分08秒0」以内で乗り切り、スプリント界のチャンピオンとして大きな時代を築いたロードカナロアの高松宮記念レコード「1分08秒1」がかすんで映る芝に急変していたのである。

 傷みかけた芝を考慮し、高松宮記念は初めてBコース(内ラチを3m移動)で行われることは発表されていたが、前週のAコースから内ラチ沿いを通って好走する馬はもう存在しなかった。だから、ラチを3m移動しても通る部分に変化があるわけではない。急激な芝コンディション変化と、Bコースへの変更は関係ない。

 日曜日になると、芝1200mではさらにレコード更新の「33秒6-33秒7=1分07秒3」が飛び出した。500万下である。10レースの名古屋城S1600万下2200mでは、とうとう「2分09秒9」。2分10秒のカベを突破する日本レコードだった。

 この芝コンディションなので、勝ったビッグアーサー(父サクラバクシンオー)の勝ちタイムは、当然、1分06秒7(自身の前後半33秒3-33秒4)のコースレコードだった。日本レコードはアグネスワールドの小倉の「1分06秒5」。次いで、中山のロードカナロアの「1分06秒7」、ヘニーハウンドの京都の「1分06秒7」が日本の芝1200mのコースレコードベスト3なので、現時点ではどういうコンディションに整備しても、芝1200mの最高走破タイムは「1分06秒5-7」が限界であることがはからずも判明することになった。

 京都の持ちタイム1分06秒7に注目が集まって1番人気に浮上したビッグアーサーは、まったくその通りの1分06秒7だったのである。

 タイムそのものは・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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