ラブミーチャン以来の牝馬優勝なるか!?/東京スプリント

2016年04月05日(火) 18:01

DGに魅せられて

▲史上初の牝馬での優勝!2013年の勝ち馬ラブミーチャン(撮影:高橋正和)

“強い”ラブミーチャンを見せつけた一戦

 新年度がスタートした地方競馬。今回からダートグレード競走のコラムを担当させていただくことになりました荘司典子です。全国の交流重賞を追いかけ、皆さんと一緒に楽しんでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

 今年度の第一弾は4月6日(水)大井競馬場で行われる『第27回東京スプリント』。以前は東京シティ盃という名称で行われていましたが、2009年度にダートグレード競走に格上げされ、同時に『東京スプリント』と改称されました。

 高いスピード能力が問われるスプリント戦で、2009年以降は中央馬が大活躍。地方馬が上位を狙うのはなかなか厳しいレースとなっています。

 しかしそんな中、地方馬・笠松のラブミーチャンが勝利を挙げた、2013年のレースを振り返ってみましょう。

 1番人気は前年の勝ち馬セイクリムズン。2番人気は2012年暮れの兵庫ゴールドトロフィーを制したティアップワイルド。ラブミーチャンは前走・黒船賞でセイクリムズンの6着に敗れていたこともあり3番人気でした。

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▲セイクリムズン、ティアップワイルドら中央勢が顔をそろえた

 レースはクリスタルボーイ、スターボード、ナイキマドリードらが激しい先行争いをする中、ラブミーチャンは6番手からの競馬。その後ろの集団にセイクリムズンと続き、一団で進みます。

 4コーナーで外を回ったラブミーチャンが先行集団に並びかけ、直線に入り早めに先頭に躍り出るとそのままセイクリムズンら後続の追撃を抑えてゴール。中央の牡馬たちを撃破しての堂々たる勝利。強いラブミーチャンを目の当たりにしたゾクゾク感は、今でもはっきりと覚えています。

 全日本2歳優駿を制し2歳でNARグランプリ年度代表馬に輝いた早熟の牝馬が、途中体調を崩し成績が振るわない時期を経験しつつも、古馬になってコンスタントに勝ち星を挙げ続け、6歳になってまたダートグレード競走を勝利。戦う気力が途切れると走らなくなると言われている牝馬が、これだけ長く第一線で活躍することは珍しいことで、オーナーのDr.コパさんも当時、

「確かにミーチャンは3歳で気力が途切れかかった時期がありました。スピード馬だから早熟だとみなさん思っていたかもしれないけど、お父さんのサウスヴィグラスから受け継いだものは年齢を重ねたほうがいいのかもしれませんね。天性のスピードを活かして6歳まで走れたことは感謝の気持ちでいっぱいです」と、この勝利を心から喜んでいらっしゃいました。

 陣営のみなさんにとっても、この東京スプリント制覇は本当に重みのある1勝で、ラブミーチャンが稀有な存在であることが我々ファンにも改めて伝わったレースでした。

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▲引退レースとなった2013年クラスターC(盛岡)、タイセイレジェンドら中央勢をおさえて勝利

 現在はお母さんとなったラブミーチャン、3月19日には2番目の男の子が生まれたそうです(父ゴールドアリュール)。なんと偶然にも母と同じ誕生日!これは大物になるかもしれません。楽しみです。

快速牝馬コーリンベリーが登場

 過去の振り返りが少し長くなりましたね。お待たせしました! ここからは今年の東京スプリントの見どころをご紹介していきましょう。

 注目はやはり昨年の勝ち馬、ダノンレジェンド。

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▲連覇を狙うダノンレジェンド(写真は2015年東京スプリント、撮影:高橋正和)

 昨年同様黒船賞を勝ってここへ臨むローテーション。黒船賞勝利組からは同馬の他、セイクリムズン、スーニも勝利を挙げています。大井の1200mは東京盃も制している好相性の舞台。鞍上ミルコ・デムーロ騎手とのコンビでは4戦3勝2着1回。好材料がずらりと並び、視界良好です。

 そのダノンレジェンドを破り、昨年のJBCスプリントを制した、牝馬コーリンベリー。

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▲JBC勝ち馬、牝馬のコーリンベリー(写真は2015年JBCスプリント、撮影:高橋正和)

 抜群の加速でハナに立つとそのままマイペースで逃げ切り、JpnIタイトルを手にしました。牝馬が同レースを制したのは初めてのこと。その後はチャンピオンズC、フェブラリーSと長めの距離を使って惨敗しましたが、サウスヴィグラス産駒でスプリンターの血が開花した今なら、1200mに戻ってJBCスプリントの再現があるかもしれません。

 4歳馬ブルドッグボスは太秦S、千葉Sとオープン特別を連勝中。デビューから[6-3-2-1]の堅実派で、今回ダートグレード競走初挑戦。千葉Sの勝ちタイム1分9秒5(重)は好時計で、即通用する可能性も高い、短距離界の新星です。

 昨年暮れに兵庫ゴールドトロフィーを勝ったレーザーバレット。根岸Sでモーニンの3着だったグレープブランデー。8歳馬2頭もまだまだ侮れない存在と言えます。

 地方馬の中からは大井のルックスザットキルを挙げておきましょう。

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▲地方勢での注目ルックスザットキル(写真は2015年習志野きらっとスプリント)

 昨年、習志野きらっとスプリントを制した快速馬。前走の船橋記念では1番人気で10着でしたが、これは鼻出血発症のためと敗因がはっきりしています。今回どこまで立て直してくるかが鍵となりますが、未来ある4歳馬、中央馬相手に良い走りを見せて欲しいです。

 今年も快速馬が揃った『第27回東京スプリント』。連覇を狙うダノンレジェンドが人気を集めそうですが、一筋縄ではいかない好メンバー。

 創設以来、牝馬でこのレースを制したのはラブミーチャンだけ。牝馬で初めてJBCスプリントを制したコーリンベリーが、ラブミーチャンに続いて勝利を挙げるかもしれませんし、勢いあるブルドッグボスが新王者に輝く可能性もあります。

 先々にはダートスプリント戦の頂点、秋の大一番JpnI・JBCスプリント(今年は川崎で行われる)も見据えたレース。お見逃しなくご覧ください。

※次回の更新は4月12日。翌13日に船橋競馬場で行われる第20回マリーンCをお届けします。


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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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