2016年04月06日(水) 12:00
ブックメーカー各社が8〜9倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのが、昨年に続き連覇を狙うメニークラウズ(セン9、父クラウディングス)だ。
シーズン当初から3連勝を飾った後、G1チェルトナムゴールドC(芝26F70y)では勝ち馬から25馬身遅れの6着に敗れて臨んだグランドナショナルを制したのが昨年のメニークラウズだったが、今季は全くの逆パターンでの参戦となっている。すなわち、シーズン緒戦となったウェザビーのG2チャーリーホールチェイス(芝24F45y)が6着、続くエイントリーの準重賞(芝24F210y)が2着、チェルトナムのG2コッツウォルドチェイス(芝25F56y)も2着と3連敗を喫した後、3月13日にケルソで行われた準重賞(芝23F96y)を10馬身差で快勝しての参戦となっている。
9歳を迎えたが衰えは全くなく、相変わらず巧みな飛越を見せており、伝説のレッドラムが73年と74年に達成して以来となる連覇の快挙が、くっきりと視界に入っている。
ポイントは、昨年よりも更に1ポンド増量となる11ストーン10ポンド(=約74.4キロ)の負担重量だろう。この馬自身、背負い慣れている斤量ではあるが、グランドナショナルでこの斤量を背負っての優勝となると、これも74年にレッドラムが12ストーン(約76.2キロ)を背負って勝って以降はなく、メニークラウズは斤量面でも歴史的快挙に挑むことになる。
各社11〜13倍のオッズで2番人気を争うのが、ザラストサムライ(セン8、父フレメンスファース)とシルヴィニアーココンティ(セン10、父ドムアルコ)の2頭である。
今季がスティープルチェイス2シーズン目で、ここがスティープルチェイスの重賞初挑戦となるのがザラストサムライだ。実績が下のこの馬がなぜ前売りでこれだけ支持されているのかと言えば、前走のレース振りが非常に鮮やかだったからだ。3月5日にドンカスターで行われたクラス2のハンデ戦グリムソープチェイス(芝26F14y)を10馬身差で楽勝。10ストーン8ポンド(約67.1キロ)というハンデも魅力だったこともあり、一気に戦線のフロントラインへと浮上している。
ただし、エイントリーの経験はハードル時代にあるだけで、その時は9着に大敗。26Fを越える距離を走ったこともなく、未知の領域を広く抱えた馬であることは確かである。
トップハンデのメニークラウズから2ポンド軽量の、11ストーン8ポンド(=約73.5キロ)という2番目に重い斤量を背負っての出走となるのがシルヴィニアーココンティだ。
春のエイントリー開催では、過去3年続けてG1ベットフレッドボウルチェイス(芝24F210y)に出走し、14年・15年と連覇しているエイントリー巧者である。それ以外にも、12年と14年にヘイドックのG1ランカシャーチェイス(芝24F24y)を制覇し、更に13年・14年とケンプトンのG1キングジョージ6世チェイス(芝24F)を連覇するなど、スティープルチェイス3マイル路線で押しも押されぬ地位を築いているのがシルヴィニアーココンティである。
その彼が、なぜか縁がないのがチェルトナムフェスティヴァルで、13年から15年まで3年続けてG1ゴールドC(芝26F70y)に挑み、13年が落馬、14年が4着、15年が7着に敗退。相性の悪さを考慮したか今年は、2月20日にG1アスコットチェイス(芝21F8y)を快勝すると、チェルトナムフェスティヴァルを回避して、ここ1本に照準を絞ってきた。
これに続く4番手グループを形成するのが、昨年のG1チェルトナムゴールドC4着馬で、エイントリーでの勝利実績のあるホーリーウェル(セン9、父ゴールドウェル)、昨年のこのレースの2着馬セイントアー(セン10、父ネットワーク)、昨年のチェルトナムフェスティヴァルでG3フェスティヴァルトロフィーハンディキャップチェイス(芝25F)を快勝しているザドルイズネフュー(セン9、父キングズシアター)の3頭で、13〜17倍のオッズがついている。
格付けこそG3だが、全世界の6億人が視聴すると言われているグランドナショナルに、皆様もぜひご注目いただきたい。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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