良馬場の平均ペースなら切れ味は一枚上/青葉賞

2016年04月29日(金) 18:00


いつもの年よりずっとレベルが高い

 1986年グランパズドリームが「青葉賞2着→ダービー2着」、89年サーペンアップ「青葉賞1着→ダービー3着」、1991年レオダーバン「青葉賞1着→ダービー2着」などの活躍によって、日本ダービーと同じ東京2400mの青葉賞が重賞に格上げされたのは1994年のこと。いきなり勝ったエアダブリンがナリタブライアンの2着に快走し、翌年からたちまち「ダービートライアル」となった。

 重賞レースになって以降、「青葉賞→日本ダービー」
1994年 エアダブリン    1着  2着
1996年 メイショウジェニエ 5着  3着
2002年 シンボリクリスエス 1着  2着
2003年 ゼンノロブロイ   1着  2着
2004年 ハイアーゲーム   1着  3着
2006年 アドマイヤメイン  1着  2着
2011年 ウインバリアシオン 1着  2着
2012年 フェノーメノ    1着  2着
2013年 アポロソニック   2着  3着
2014年 マイネルフロスト  6着  3着

 青葉賞をステップに日本ダービーで2着・3着した馬は合計「10頭」にも達する。この22年間、皐月賞から直行ローテーションで日本ダービーを勝った馬が15頭。「すみれS」、「京都新聞杯」2頭、「NHKマイルC」3頭、「桜花賞」からダービーを勝った馬も「計7頭」存在する。ところが、トライアル青葉賞をステップに、日本ダービーを勝った馬は1頭も出現しない歴史がつづいている。

 中3週で、東京2400mを2回激走するのは苦しいこと。同時に、皐月賞で展望が開けたトップクラスはわざわざ東京2400mに出走して活力のロスを生じるようなローテーションを取るわけがないのがその理由だが、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、フェノーメノなどをみると、決して不可能な日程ではないとも思える。そろそろ「青葉賞→日本ダービー優勝」が実現しても不思議はない。

 ここまで、まったく無理をしていないレーヴァテイン(父ディープインパクト)、アルカサル(父ドリームジャーニー)、プロディガルサン(父ディープインパクト)などにはそのチャンスが十分にあるかもしれない。

 上のアプレザンレーヴ、レーヴミストラルがともにこの青葉賞を勝っているレーヴァテインは、鋭い切れを爆発させる一族のため、あまり脚元の丈夫な産駒がいないうえ、どうもタフな系統ではないようなところがあるが、大事に間をあけ、マトをしぼる日程を取ってきた。堀調教師の管理馬である。

 2月の東京2400mは、今回も対決するヴァンキッシュランの降着による繰り上がりだが、あれはF.ベリー騎手にしては珍しくラフな騎乗で、馬体を寄せてきただけでなく、(結果的に)ぶつかるように接触している。瞬間的な斜行ではなかった。繰上がりではなく、不利を受けての2位入線と映った。  間をあけての再鍛錬で、あのアクシデントをプラスに転じることができたレーヴァテインは、この兄弟特有の危なっかしい体質の弱さが解消したようにみえる。ここはチャンス大。前回の上がりは33秒0。天皇賞・春のレーヴミストラルと同じで、この距離の良馬場の平均ペースなら、切れ味は一枚上だろう。一段とフットワークが鋭くなったアルカサルと、前回の共同通信杯で人気のハートレーをマークしていて仕掛けが遅くなった3着馬のメートルダールが相手の本線。脚部難が解消して間に合ったプロディガルサン、降着のあとすぐに2勝目をあげたヴァンキッシュランも好勝負。いつもの年より、今年の青葉賞はずっとレベルが高いと思える。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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