ベテランの大駆けに期待/アハルテケS

2016年06月10日(金) 18:00


楽について行ける平均ペースの方がいい

 ほとんどの馬がダートのオープン戦にしては軽いハンデが妥当とされたから、全体にはあまりレベルの高い組み合わせではない。  6歳の騙馬オリオンザジャパン(父クロフネ)の大駆けに期待する。もうベテランに近いが、祖母がサクラバクシンオーの半妹という侮り難い成長力を誇る一族の真価なのか、今年になってオープン入りし、ますますパワーアップしているようにみえる。今週の美浦の坂路は走りやすいコンディションだったこともあるが、半マイル51秒4-37秒3-12秒7で併せ馬で先着してみせた。全体でも5本の指に入る快タイムだった。4月に1600万下を勝った際の直前の追い切りが「55秒台」。初のオープン挑戦となった前回がビシッと追って「54秒台」だから、これまでにない快時計である。

 その、6歳になって初めて挑戦したオープン戦の内容も素晴らしい。それまで23戦5勝は、すべてダート競馬。格上がりの初オープンが、なんと初芝。ふつうは好走などありえない条件だから、単勝80倍を超す人気薄だったが、1800mを1分46秒3で乗り切り、日曜日のエプソムカップで上位人気が予測されるロジチャリスとわずか「0秒5差」だけの8着。上がり3ハロン「33秒3」はメンバー中のNo.1であり、ロジチャリスの上がり「33秒9」を、0秒6も上回っていたのである。

 高い芝適性を示したことにも驚いたが、全体にパワーアップしているのは間違いない。調教の動きが裏付けるように、目下、絶好調に近く、なおかつ大幅に力をつけているのである。

 今度は、もっとも良績のある東京のダート戦。1600mの持ち時計1分36秒3を見てしまうと、ちょっと苦しい気もするが、東京ダートでは「上がり35秒台」の記録が3回もあり、うち2回が距離1600mの際である。ハンデは引き続き53キロ。ハイペースはなさそうだが、差し=追い込み一手とはいえ、相手のバテに乗じて差す馬ではないから、むしろ楽について行ける平均(スロー)ペースの方がいい。

 人気の圏外と思えるが、こういうレースを買うファンは穴馬を探すのが楽しみなので、案外、売れたりする危険はあるが、掛け率には合うだろう。

 オッズと相談しつつ、サノイチフィールザスマートを本線に、伏兵にも手広く流したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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