求められたのは厳しいレースを経験してきた実績と総合能力/七夕賞

2016年07月11日(月) 18:00


大きなプラスをもたらした絶好調=戸崎圭太騎手

 この時期だから時計が速くなることはないと予測されたが、グランデッツァ(父アグネスタキオン。今春から種牡馬)の昨年のレースレコード「1分58秒2」に迫る歴代2位の速い時計「1分58秒4」の決着に持ち込まれた。レース全体の前後半1000mのバランスは、

 ▽15年 「59秒5-58秒7」=1分58秒2 (上がり34秒5)
 ▽16年 「57秒9-60秒5」=1分58秒4 (上がり37秒2)

 決着タイムの差はないのに、逃げ馬のラップだけでなく、多くの馬が関係するレース全体の流れがまったく逆だったことが分かる。

 昨年、好位からスパートして抜けた快速系グランデッツァの上がりは「46秒1(推定)-34秒3-12秒0」だった。一気のペースアップでレースレコードをたたき出している。

 一方、14年の勝ち馬メイショウナルト(父ハーツクライ)がぐんぐん飛ばし、これをクリールカイザー(父キングヘイロー)、ヤマニンボワラクテ(父キングカメハメハ)などが早めに仕掛けて追走した流れはきびしく、6〜7番手から抜けだすことになった今年の勝ち馬アルバートドック(父ディープインパクト)の上がりは「47秒6(推定)-35秒9-12秒6」。前年と大きく異なっている。

 小回りコースゆえ、大きく置かれては勝負にならない。前が飛ばせばスパートのタイミングも早くなりがちになる。人気勢の多くが、前後半の1000mに「2秒6」もの差が生じた前傾バランスの流れに少なからぬ影響を受けただろう。

 求められたのは、きびしいレースを経験してきた実績と、いわゆる総合能力だったか。上位6着までに入ったのは、3着オリオンザジャパン以外、みんな「57〜58」キロを課せられたハンデの重い実力馬ばかりだった。これが今年の七夕賞の最大特徴と思われる。

 3コーナーを過ぎ・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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