【特別対談】名馬を育てた厩務員(4)『移り行く競馬界“本当の馬作り”とは』

2016年07月25日(月) 12:01

おじゃ馬します!

▲名馬を育てた厩務員対談の最終回。競馬界の変化を辿りながら“本当の馬作り”について語り合います

ブルーコンコルドの山本元厩務員とゼンノロブロイの川越元厩務員をお招きしての職人対談。最終回のテーマは、競馬界から離れたおふたりが感じる「競馬界の今」。牧場との連携で厩舎の回転率が上がり、担当制からプール制を取り入れる厩舎も増えています。効率的なサイクルのメリットがある一方、“職人肌”のおふたりはさみしさも感じると言います。名馬を育てた厩務員の熱い信念に迫ります。(取材:赤見千尋)


(前回のつづき)

「お金とかそんなのはいい。仕事に対してのプライドがあった」

赤見 おふたりとも名馬を手掛けられて、責任感とも戦ってきたのかなと思います。ブルーコンコルドは“ダートの絶対王者”として君臨していましたが、勝負前はどんなお気持ちだったんですか?

山本 プレッシャーはなかったですよ。ただ競馬に出るからには、いつも「勝つんだ」という気持ちしかなかった。「負ける」というのは一切考えてなかったです。

赤見 どんどん強くなっていって、ある意味“勝って当たり前”の存在でもありましたが。

山本 うん。でも、「常に完璧」なんてことはないから。僕が馬作りでヘマをすることだってあるし、乗り役さんだってミスはある。完璧というのはないんですよ。だから変なプレッシャーというのもなかった。

川越 僕はプレッシャーというより、「ここまで来たんだから怪我はせずに」って、そういうことに気を付けていました。ゼンノロブロイという素晴らしい馬で大きな舞台を経験させてもらって、大きなタイトルを手にするところまできたのですから、つまらない怪我だけはさせたくないですから。

赤見 ロブロイは種牡馬になってからもすごいですね。今年はバウンスシャッセが愛知杯を、リラヴァティがマーメイドSを勝っています。

川越 頑張ってますよね。ペルーサやルルーシュなんかも出してくれましたが、これからもいい子が出てほしいなといつも思ってます。いい種馬になれるんじゃないかなというのは、現役の時から感じていました。見た目、品格、たたずまい…どこにでも連れて歩きたいような感じでしたので。

おじゃ馬します!

▲ゼンノロブロイの代表産駒で、先日引退が発表されたペルーサ(2010年青葉賞優勝時、撮影:下野雄規)

赤見 まさに自慢の愛馬ですね。ブルーコンコルドは、残念ながら今年の5月に亡くなってしまって。・・・

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東奈緒美・赤見千尋

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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