フルに追っての味を引き出したM.デムーロ騎手/スプリンターズS&凱旋門賞

2016年10月03日(月) 18:00


エンドスウィープ系の真価

 6Rの古馬500万下の芝1200mが、1分08秒3(32秒8-35秒5)であり、10Rの古馬1000万特別が1分08秒4(34秒3-34秒1)の決着だったから、スプリンターズSの「1分07秒6」の勝ち時計は予測された通りか。だが、33秒4-34秒2のレースの流れは、中山の1200mのスプリンターズSとすると非常に緩い流れで、14年からの芝の整備方法変更によるコンディションの変化により、高速のスプリント戦ではなくなっているという思いがどの騎手にもあった。  ちょっとムリな先行策をとると、後半が怪しくなる芝である。前回のセントウルSを1分07秒6で完勝したビッグアーサー(父サクラバクシンオー)の自身のレースバランスは決して強引にとばしたものではないが、「33秒1-34秒5」。そのラップバランスを振り返った福永祐一騎手には、今度はムリに先行せず、好位のインで我慢するのがベストではないか、というレース前の展望があったのではないか、と思われる。

 好位のインにおさまることには成功したが、レースの流れはスペチアーレが逃げ切った6レースの古馬500万下より、前半の3ハロンが「0秒6」も遅くなっていた。

 とくに1ハロン過ぎ、2ハロン通過手前で2回も引いたビッグアーサーは、このラップだから他の有力馬が好位でひしめき合う中、中間地点では7-8番手まで下がっている。直線に向いてもみんな楽な脚いろで伸びようとしているから、前の馬に接触しかかってつまずき気味になるなどレースにならなかった。

 福永騎手が「申しわけない。具合は文句なしに良かったが、ボクがうまくさばけなかった」と頭を下げるのは当然・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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