2016年10月06日(木) 12:00
「戦術がないと凱旋門賞には勝てない」
3年前、2年前に凱旋門賞を連覇したトレヴの鞍上のジャルネ騎手が、日本には凱旋門賞を勝つための戦術が足りないと語っていたことが強く印象に残っていた。
■ぶっつけでフランスの競馬(馬場)には挑まない。 ■騎手はフランス競馬を熟知してることが望ましい。
一応、この2つを語っていたけれど、本当はもっと難しいプレイがあるのではないか? もしかして語っていたけれど、日本には伝わらなかったのではないか? そもそもフランスは世界一の戦術文化だとも言われている。ディープインパクトを負かしたのもチームプレイだったとも聞く。強い馬をやっつけるための暗黙の兵法が存在しているのではないか?(あくまでも暗黙。Unwritten Rules) そんなことを感じながら、マカヒキの凱旋門賞を観戦していた。
マカヒキは上記の項目は満たしていた。ぶっつけでもないし、騎手もルメールだ。スプリンターズSではHOWマッチに失敗してしまったけれど、こちらではHOWマッチできるのではないか? なんて思いながら観戦した。 しかし、惨敗してしまった。
勝ったのはご存知のとおり、アイルランドのオブライエン厩舎のファウンド。鞍上はムーア。2着、3着も同じオブライエン厩舎のハイランドリール、オーダーオブセントジョージ。
自分は、レースを見て、戦術を語れるような目も知識も持ち合わせていないけれど、最後の直線で、デットーリが内をこじあけようとしているムーアに進路を譲ってから、自身が追い出しにかかってるように見えた。
グリーンチャンネルで解説していた武豊騎手が、スタート直後にオブライエン厩舎の2頭(ハイランドリールとオーダーオブセントジョージ)が外に膨れつつ先行して、ファウンドが内に切れ込んでいったことも戦術の1つではないかと語っていた。なるほど。
スタート直後のレース映像は上空から撮ってるから、3頭の動きはよくわかる。どこまで戦術なのか、自分にはわからないけれど、気がつけば、ハイランドリールとオーダーオブセントジョージは2番手、3番手にいて、ファウンドは内ラチ中団にいた。そして直線では内差し名人のムーアが一気に駆け抜けた。
外枠不利と言われていて、オブライエン厩舎の3頭はみな外枠にいて、それでも結果は1・2・3着。もし本当に戦術を駆使して、それが機能したのだとしたら、ラインを組んで闘う競輪みたいですごい。
マカヒキの惨敗の理由はよくわからない。体調面かもしれないし、脚元かもしれない。でも体調が万全だったとしても、最短距離で駆け抜けたファウンドを捉えるのは難しかったのではないか?
英国から単騎で参戦した(ザグレーギャッツビーも英国だけど、仲間のようには見えなかった)ポストポンドが正攻法で競馬をして勝てなかったのを見て、余計に思った。ポストポンドの場合は、アッゼニが凱旋門賞に慣れていなかったのも原因かもしれないけれど、慣れていたとしても孤軍奮闘で闘うのは厳しかったかもしれない。
そんなことを漠然とイメージしていたら、現地で取材していたカメラマンのムラっちゃん(村田利之)からオブライエン厩舎の勝負に賭ける凄みを・・・
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かしわでちょうほう
競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。
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