2016年12月01日(木) 20:00
今週の月曜、火曜に世間では結構大きなニュースが飛び交っていたので、火曜の夕方に友達と「なんか世間が騒がしいね〜」なんて話していたところでした。でも、その翌朝の水曜、栗東トレセンもタガノトネールの痛ましい事故に始まり、さらにホッコータルマエが現役続行断念を発表するとは…。なかなか気持ちの整理がつかない一日でありました。
ホッコータルマエといえば、いつもいつもコンスタントに走っているイメージでした。2歳以外のGIレースの前にはピックアップされた数頭の関係者への共同記者会見が行われます。最近はその時間帯を利用して有力馬が引退を発表することもしばしばですが、まさか…。ショウナンパンドラのときもそうでしたけれど。大事に至らずにホッとしつつも、やはり再びレースで走る姿が見れなくなることの寂しさに襲われる瞬間でもあります。
その中で西浦師が「いままで表立っては言わなかったけれど、ずっと脚元に不安を抱えたまま走っていた」という話をされたのが印象深かったです。そう、どの競走馬もオープンまで上り詰めるような馬はみなどこかしら不安を抱えている。まして、あんなに両前の繋が立っていれば、なおさら脚元への負担は大きかったと察します。しかしながら、典型的な叩き良化型で走れば走るほど体は仕上がっていく。この矛盾を抱えながら、これだけたくさんのレースを走り続けたのはほんと素晴らしいのひとことに尽きます。
担当の相良助手も、ほんとタルマエのことをよく可愛がっていましたね。
「いつも本当によく走ってくれました。よく食べて一生懸命働く。走る労働者でしたよ」
タルマエの馬房は本当によく見せていただいたんですが、相良さんがカイバやニンジンを与えるとすぐさま食べる姿が印象的でした。今週月曜の朝もすごく元気よさそうで、食欲旺盛なかんじで「これならいける!」って思っていたんですけどね。本当に残念。
実は木曜の午後、ちょっとだけタルマエの様子を見てきました。さすがに月曜と比べると大人しかったですが。それでも、思いのほか元気そうでした。しっかりカイバも食べていましたからね。ほんと、いつも食欲旺盛なのでガッついて食べている=元気のしるし。そんな姿をみて、ちょっとホッとしました。
新馬のころはもっと体が緩くて、調教もままならず。年を取るにつれ、トレーニングを重ねるにつれて、どんどん強くなっていったというストーリーは、ありそうでなかなかありません。ちゃんと時期が来るまで待って、それまでしっかりやるべきことを頑張っていれば、花が開くこともある。そんなことを教えてくれる馬でした。
人間でもそうですよね。なにごともタイミングがある。そのタイミングが来るまでは、自分のすべきことをしっかりやって準備しておく。そして、その積み重ねがタイミングが来たときの蓄えになる。
そうタルマエのことを思いながら、見えない明日に向かって“地道”に頑張る今日のこの頃です。
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花岡貴子
デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)
プロフィール
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