週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2005年01月04日(火) 19:30

 皆様、新年明けましておめでとうございます。平素より「週刊サラブレッド・レーシング・ポスト」を御愛読いただきまして、誠にありがとうございます。有益な情報を、面白く読んでいただけるコラムにすべく、勉強不足を反省し、精一杯がんばる所存ですので、本年もよろしくお願いいたします。

 世界10ヶ国以上に深刻な被害をもたらしたインドネシア・スマトラ島沖地震。災害発生から一週間以上が経過した1月3日になって、邦人約680人と連絡がとれない状態になっていることを政府が明らかにするなど、時間の経過とともに状況は悪化の一途を辿っている。

 復興には長大な時間と莫大な資金を要することになろうが、支援の声は競馬サークルからも湧き上がっている。

 ジョン・マグナー率いるアイルランドの生産帝国クールモア・スタッドと、そのアメリカにおける支場アッシュフォード・スタッドが、繋養する全種牡馬の今季のノミネーションを1株ずつを無料で放出することを決定。全てのノミネーションはオークションにかけられ、最も高い値をつけた人が購買。販売金額は、国際赤十字を通じて津波被害の復興支援に充てられることになったものだ。

 種牡馬のラインナップにかけては世界随一の水準を誇るクールモア・グループ。ノミネーションが放出される種牡馬は、04年も13年連続14回目のリーディングを獲得したスーパーサイアー・サドラーズウェルズを筆頭に、05年の種付け料が15万ドルに値上げされることが発表されたばかりのフサイチペガサスやジャイアンツコーズウェイ、期待の若手種牡馬ロックオブジブラルタルなど、超豪華メンバー。これに加えてクールモア・オーストラリアも、G1勝ち馬でG1サイアーのエンコスタデラーゴのノミネーションを供出。仮に全ノミネーションが公示価格通りに売れれば(サドラーズウェルズのみ、価格を公示していないため計算から除外)、日本円にして1億5千万円以上が集まることになる。

 オークションのビッドは電話によって受け付けられており、締め切りは1月11日(火曜日)、アメリカ東部時間の午後5時。その後、世界のメジャーな競馬出版物に、ノミネーションの取得に成功した人のリストが掲載されることになっている。

 1月3日現在、フサイチペガサスとジャイアンツコーズウェイに、公示価格と同じ15万ドルの購買申し込みが届いている他、公示価格37,500ユーロのガリレオに4万ユーロ、公示価格25,000ユーロのホークウィングに3万ユーロのビッドが入るなど、相場を越えた購買申し込みも見られている。また、日本のジャパンブラッドストック社がストームキャット系種牡馬スタクーオブリバティに対して打った1万ユーロのビッドが、1月3日現在で最高値となっているなど、支援の輪は日本も含めて全世界に広がろうとしている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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