ステッキ1本で全国巡る!金沢・吉原寛人の情熱

2017年04月18日(火) 18:00

吉原騎手

ステッキ1本で全国を巡る、金沢の吉原寛人騎手(撮影:小堺翔太)


吉原騎手「もっと自分を変えていかないといけない」

赤見:まずはリンダリンダのお話からお聞きしたいんですが、マリーンCは3着、ここまで3戦連続でダートグレードで馬券に絡む活躍をしてますね。

吉原:マリーンCはもったいなかったです。1,2コーナーで切り返した時に折り合いを少し欠いて…、前半のその分ですね。最近はスタートも良くて、自分のペースで行けたら最後まで渋太く脚も使ってくれるし、これといって嫌な癖もない馬です。僕が乗せてもらったタイミングで具合も良くなったみたいで、一皮むけましたよね。ダートグレードでも勝ち負けが意識できる馬なので、どこかで勝ちたいなと思っています。

赤見:適距離適コースというのはどうですか?

吉原:ずっとマイルの方がいいって言われていましたけど、牝馬路線はマイルにこだわるわけにもいかないので長いとこも使って、距離が延びてもいい感じで脚を使ってくれました。大井の外回りも上手にこなしてくれましたし。馬場とかコースを気にする馬じゃないんで、どこかのタイミングで全部まとめてやっつけたいですね。

リンダリンダ

リンダリンダは「ダートグレードでも勝ち負けが意識できる馬」(撮影:高橋正和、(C)netkeiba)

赤見:本当にいい馬にいっぱい乗ってるので、どの馬の話を聞こうか迷いますけれども。

吉原:ね。いい馬ばっかり乗せてもらってると思います。僕は金沢所属ですけど、重賞の時は他地区の騎手も乗れるというルールができたお陰で、全国の重賞に乗せてもらえるようになりました。本当にたくさんの方々に感謝しています。毎日いるわけではない僕に、大切な愛馬を預けてくれるわけですから、きっちりと結果を出さなければいけないと思っています。

赤見:では続いて、クラウンCを圧勝したローズジュレップについてですが、めちゃくちゃ強かったですね。

吉原:強かったですね。時計も速かったですし、さすが(NARグランプリ2016で)2歳最優秀牡馬を受賞した馬ですよね。クラウンCは走ったことのある川崎ですし、メンバー的には逃げてもいいと思っていました。切れるというタイプではないし、自分のペースで行った方が、後ろが苦しくなっていいかなと。体の大きな馬ですし、サミットストーンをイメージして乗りました。次は南関東一冠目の羽田盃の予定なので、自信を持ってがんばります。

赤見:去年の年度代表馬ソルテは、3月のフジノウェーブ記念10着…。残念な結果が続いていますね。

吉原:う〜ん、2,3年ずっといい状態が続いてて、そのいい状態が続いているうちにJpnI制覇と思っていたんですけど、JBCスプリントでガクッと崩れちゃって、疲れが残ってしまって…。いい時までに戻すのが、ちょっと大変になってしまった感じで。張り詰めていたものが一回リセットされたというか、ちょっと時間かかるかなと。厩舎の方々が一生懸命やってくれているので、じっくり待ちたいです。

ソルテ

ソルテは「厩舎の方々が一生懸命やってくれているので、じっくり待ちたい」(撮影:武田明彦、(C)netkeiba)

赤見:ダートグレードホースのユーロビートは、年明けの金盃を勝ち、ダイオライト記念で2着。完全復活ですね。

吉原:本当にすごい馬ですよね。長い間がんばってくれてますけど、ここに来て馬もしっかりしたし、僕もユーロの良さの出し方がわかってきて、そのように乗ると本当に動いてくれるんです。長距離だと地方馬には負けないというくらいになってくれましたし、またダートグレードも勝ちたいです。ただね、自分から勝ちに動くタイプじゃないんですよ。そういう乗り方すると良さが出ないので、展開待ちになってしまうところはあるんですけど、リズムよく運べれば強い馬なので、これからさらに楽しみですね。

ユーロビート

ユーロビートは「リズムよく運べれば強い馬、これからさらに楽しみ」(撮影:武田明彦、(C)netkeiba)

赤見:そして、ご自身のお話ですけれども、地方通算2000勝達成、おめでとうございます。

吉原:ありがとうございます。ホッとしました。年100勝以上勝てていて、自分ではいいペースかなと思っています。今は一つの場所に腰を据えて乗っているわけではないので、リーディングというのは難しいですし、勝ち鞍をバンバン延ばすという感じではないんですけど。重賞だったり、上を目指せる馬に乗せてもらっているので、集中してしっかり結果を出すのが大事だと思っています。僕自身まだまだ課題はいっぱいあるんですけど、だいぶ遠征慣れして、気持ちとか体も余裕が出てきたので、ここからさらにいいパフォーマンスができるように、もっと自分を変えていかないといけないなと思っています。

赤見:その向上心はどこから来るんですか?

吉原:全国の方々によくしてもらっているし、いい環境で乗せてもらってるので、がんばらないと嘘でしょってなるじゃないですか。これまでたくさんの馬を任せていただいた経験と、今乗せていただいている馬たちの存在を想えば、もっともっと上にという気持ちになりますね。

赤見:未だ独身ですけれども、プライベートでいい話はないんですか?

吉原:ないですね(笑)。だって毎日のように移動して別の競馬場で乗って、ずっと張り詰めているので、家庭のこととか考えるのめんどくさいんですよ。時間も作れないですし。帰って奥さんに気を使いたくないんです(笑)。

赤見:なるほど(笑)。では話題を変えまして、今年から地元金沢で石川ダービーが新設されますね!

吉原:嬉しいです!やっぱりダービーは特別ですよね。どこの競馬場でもみんなが目指すレースですから。金沢はなかったので寂しかったです。地元のみんなも喜んでいますし、意識も上がりますよね。

赤見:去年はダービーウイークの6レースと、高知優駿、ジャパンダートダービー、ダービーグランプリと地方のダービーすべて乗ってましたよね?

吉原:ダービーウイークはタイトなスケジュールでしたけど、各地の「この馬が勝つんじゃないか」、「いやこっちの馬でしょ」みたいな盛り上がりを実感できて、特別な経験でした。グリグリの本命馬とかに乗ったわけじゃないですけど、参加させてもらって、なんとか注目馬を負かそうっていう、夢をいっぱい見させてもらいましたから。今年からダービーシリーズになって、もちろん地元も増えましたから、全部乗れるように、勝てるようにがんばります!

赤見:では、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

吉原:いつも応援していただき、ありがとうございます。各地の競馬場で、いろんな重賞に乗せてもらっているので、今はネットでも馬券を買えるし、名前見たら応援してもらえたら嬉しいです。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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