2017年07月13日(木) 12:00
◆レベルの高い、内容のあるレースだった
ものごとをしっかり見極め、最後の最後まで気を抜かず、キチンと止めを刺す、そんな七夕賞のゼーヴィントの勝ち方だった。もうひと息というところをいいかげんにせず、心をゆるめない、これはひとつの作法と言っていいだろう。
貴重な成果も、99パーセントまで来ていても残りの1パーセントで台無しにしてしまうことだってある。もう少しのところで、始めから無きに等しいことになってしまうのだから、心くばりが如何に大事か、目の前のレースはよく見せてくれるのだ。
それにしても福島の芝2000米は、スローペースになりにくい。小回りで4つのコーナーがあり、しかも直線が短いときているから、どの馬も早めに動こうとする。
予定どおり先頭に立ったマルターズアポジーは、実は、スタートして内にいるフェイマスエンドに絡まれてペースを速めていたのだった。武士沢騎手はそれは分かっていても、この馬は行くしかないと逃げていた。
前半の1000米通過馬が58秒0のハイペース。それなのに多くが早めに動く3角手前でマイネルフロストが並びかけてきたのだから、マルターズアポジーの惨敗は仕方なかった。むしろ、2着に残したマイネルフロストの柴田大知騎手の判断が、今回は正解だったということだ。
ゼーヴィントの戸崎圭太騎手は、最初から先行馬の後ろにと考えていたが、速いペースで動いて行くのに忙しかった。それでも、きっちり勝ち切るには自ら動いて捉えに行かなければならない。しかし、福島コースは安定して走るし、この馬との相性は抜群によく、迷うことなく追い続けていた。
この馬が福島でいいのは、ペースが速くなってあまり切れる脚のない脚質に願ってもない展開になっているからだろう。正に、今回もそんな戦況になっていた。
最後の最後まで気を抜かず、止めを刺したゼーヴィントは4歳馬、先を見すえて脚へのケアーをしながらの調整だったが、この勝ちタイムは立派だ。また、1秒以内に10頭がなだれ込んだのだから、レベルの高い、内容のあるレースだった。だからこそ、勝ち馬のこの先が楽しみなのだ。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
長岡一也「競馬白書」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
プロフィール
ゼーヴィントの全成績と掲示板
レース結果
七夕賞全着順・払戻金
レース回顧
七夕賞の寸評・回顧
コラム
なぜか早生まれの馬が異様に強い!/七夕賞
ニュース
ゼーヴィントが人気に応え重賞2勝目/七夕賞
競輪
競輪を気軽に楽しもう!全レース出走表・競輪予想、ニュース、コラム、選手データベースなど。