2017年08月24日(木) 12:00
◆さらに新たな志を立て突き進んで行く姿に清々しさを感じる
重賞をひとつ勝つまでの道のりは、実に様々だ。札幌記念のサクラアンプルール、北九州記念のダイアナヘイローの蹄跡をたどることで、もうひとつの競馬を見る思いがする。
志を立てるのに、老いも若きもない。志あるところ、老いも若きも道は必ずひらけると言うが、さまざまな道程があったにせよ、重賞初制覇にたどり着けたことで、また新たな志も抱くことになったのは良かった。
サクラアンプルールは、6歳夏での勝利というところに心引かれるが、思えば、未勝利で一度は地方に移籍し、そこで中央への転厩資格を得て再入厩したという経歴がある馬で、どれほど辛棒強くここまで持ってきたかが想像できる。芝の中距離で重賞を4勝したサクラメガワンダーの半弟で、とにかく大事に使われてきた。3歳2月デビューで、地方競馬門別の2戦2勝を含めてこれまで20戦6勝、この間、トータルで約1年11カ月は休養にあてられていた。
前走の函館記念は3カ月半ぶりのレースだったが、放牧先の北海道から美浦にもどり、それから函館にと長距離輸送が重なって馬体が減り元気がなかったのが、今回は一変していたと蛯名騎手は言っていた。決め手を生かしたいタイプで、一番枠を無駄なく内で脚をため、行き過ぎないよう前を見る戦いぶりが印象に残り、ここぞというところで外に出して進出するレース運びは見事だった。秋のGIタイトルを狙える立場になり、6歳にして素質が開花したと思いたい。
北九州記念を勝ったダイアナヘイローは4歳牝馬、4連勝で重賞にたどり着いたのだが、有り余るスピードでスプリント界の新星誕生と評価したい。道中は2番手で行き過ぎないように手綱を加減する武豊騎手のプレイが光っていた。どうしても行きたがるスピード馬を少しずつ、無理せず導いてきたという印象で、レースではそおっとなだめるように騎乗し、馬に走り方を教えているように見えた。ハナに立つと折り合うのに、控えると力んでしまって伸びなかったのを、どうやらこの勝利で解消して一歩前進できたのではないか。志を立てて道を切り開き、さらに新たな志を立てて突き進んで行く姿に、競馬の中の清々しさを感じる。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
プロフィール
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