2017年08月29日(火) 18:01
▲7月16日に中京で新馬勝ちしたワグネリアン、素質が光った勝利に鞍上としての手応えは? (C)netkeiba.com
Q. ワグネリアンについて、福永騎手の率直な感想が聞きたいです。あのスローでの折り合い、キレと勝負根性。今後を期待せずにはいられません!
スタートも良く、道中の走りもスムーズで、上がりの3ハロンは中京競馬史上最速となる32秒6。初出走ながら、申し分のない走りをしてくれたと思う。
前半1000m通過は67秒0。確かに超のつくスローだが、かといって32秒6という上がりは簡単に出せる数字ではない。実際、2012年のコース改修以降、中京芝2000m以上で32秒台の上がりをマークしたのは、この馬と2着のヘンリーバローズ、2016年金鯱賞のデニムアンドルビー(8着)、スズカデヴィアス(10着)の4頭だけだ。
ただ、もちろん高い素質は感じたが、それ以上の将来性となると、自分は新馬戦で評価を下すのは早計だと思っている。なぜなら、新馬戦は概ねスローペースの瞬発力勝負で、ペースも時計も、2戦目以降でガラッと変わってくるからだ。
新馬戦の多くが、なぜスローペースになるかというと、掛かる馬が圧倒的に少ないから。初めての場所で、しかも初めてたくさんのお客さんの前で走るわけだから、走りに集中できないのがむしろ当たり前で、新馬戦から掛かるほどの行きっぷりを見せる馬は稀有だ。もちろん、新馬戦ならではの留意点はたくさんあるが、ある意味、自分は一番乗りやすい。
新馬戦で勝った馬に限らず、自分が重要視するのは2戦目。レースを経験したことでペースも流れてくるし、タイムもグッと詰まってくる。その2戦目で、どれだけのパフォーマンスを見せることができるか。将来性はもちろん、距離適性なども、そこでいろいろ見えてくるケースが多い。
ワグネリアンでいえば、いくら上がりだけの競馬だったとはいえ、素質がなければあんな上がりは出せない。今後、どういう成長を見せてくれるか非常に楽しみだし、大きな期待を持って2戦目(9月16日の野路菊Sを予定)に臨みたいと思っている。
▲「いくら上がりだけの競馬だったとはいえ、素質がなければあんな上がりは出せない」
Q. 福永騎手は、ラップタイムをどのぐらい重要視されていますか? またJRAの公式ラップは正確だと思われますか? ※独自にラップを何年も測られている方がいて、JRA発表のラップタイムとズレがあることが多々あり、その方のほうが正しいケースが多いように思います。・・・
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2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。
福永祐一
1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。
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