2017年09月28日(木) 12:00
◆先発の利を生かした2頭の期待は大きい
「先発すれば人を制し、後発すれば人に制せられる」と人間学の宝庫、漢書には書かれている。広く「先んずれば人を制す」と言い習わしているが、レイデオロもルージュバックも秋の大目標の大事な前哨戦を、正に「先発の利を生かす」勝ち方でものにしていた。
どんなタイプの馬でも、取り合えずスタートはきちんとしているに限る。いいスタートをすることで自ら勝利の道を切り開くことができるので、他力本願でないこの方が確実だと言える。
ジャパンカップを見据えて神戸新聞杯をそのステップにと登場したダービー馬レイデオロは、3番手で直線に入り、加速して先頭に立つとあっさり2馬身差をつけて、実に当然という勝ち方だった。
ルメール騎手の言葉で印象深かったのが、「スタートが速かったのにはびっくりした」と述べていたことで、春はかなり気を使っていた点が解消され、とにかく、折り合いの不安も全然感じさせなかった。
「先発の利を生かす」ことで、課題だった折り合い、春はここを一番重視して戦っていたのだが、その不安がなくなったとなれば秋の視界はひらけたと言ってもいい。
悲願のGI初制覇へ向けてエリザベス女王杯に目標をおくルージュバックは、結果が出なかった春のスランプを脱していた。オールカマーからGI制覇した牝馬と言えば、ジャパンカップを勝ったショウナンパンドラがいたが、ゆったり走れる中山の2200米を力強く内から伸びた勝ち方なら、広い京都での可能性は高い。
テン乗りの北村宏騎手は、「トップスタートで行けて流れに乗っていきました」と言っていたが、脚をためることができたのも「先発の利を生かす」ことができたからだった。GIはこれまで8回出走してオークスの2着が最高の成績。重賞はこれで4勝でも全てが牡馬を相手にと異色の牝馬だが、これまた秋の視界はひらけたと言える。
神戸新聞杯もオールカマーも、どちらもペースは遅かった。それを好スタートを切ってから折り合いをつけて勝ったところに、次への期待を大きくしている。この2つのレースから、「先発すれば人を制し、後発すれば人に制せられる」のこころを再確認したい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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