勝った人馬を称える語彙はもう尽きている/天皇賞(秋)

2017年10月30日(月) 18:00


◆ゴール前は余裕すら感じられた

 2000mで10秒前後も馬場差の生じた豪雨の不良馬場。そのタフネスぶりと総合力が全開したとはいえ、それにしてもタフなチャンピオンがいたものだ。

 初夏の宝塚記念では他を威圧する存在感を欠いていた5歳キタサンブラック(父ブラックタイド)は、この日、またいつものように堂々と闘志あふれる姿で登場した。  こんな不良馬場はどの馬にとっても歓迎ではないが、出負けしても鞍上の武豊騎手とともにまったく平気。馬群は最初からバラけている。道中の進出にも苦心することはなく、開いていた隊列の内からいつの間にかスルスルと上昇し、直線に向いて抜け出しながら少しずつ外へ。ゴール前、最後まで必死に差を詰めた2着のサトノクラウン(父マルジュ)との差は「クビ」でも、必死のサトノクラウンに対し、すでに勝利を確信したキタサンブラックは、「もう無理することはない」。余裕すら感じられた。

 これで「4歳春→5歳春→5歳秋」と天皇賞3勝。テイエムオペラオーの天皇賞記録に並ぶと同時に、JRAの獲得賞金ランキングもテイエムオペラオーに次ぐ歴代2位に浮上。G1競走6勝を含み通算18戦【11-2-3-2】となった。テイエムオペラオーの獲得賞金は18億3518万円強。キタサンブラックは14億9796万円強。あまりの高額に、水槽の前で立ち眩みしながら計算すると、その差3億3722万8000円。あと2戦を予定するジャパンCの1着賞金も、有馬記念のそれも3億円強である。接近して並ぶのかもしれない。

重賞レース回顧

テイエムオペラオーの獲得賞金にも接近して並ぶのかもしれない(撮影:下野雄規)

 いま、またキタサンブラックを・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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