2017年12月15日(金) 18:00
◆GIIIのここでは取りこぼして欲しくない
現代の人気種牡馬タピット(その父はシアトルスルー系プルピット)のG1勝ち馬は、この血統であり、北米産がほとんどなので、ことごとくダート戦に集中する。
ノーザンファームを中心に、タピット産駒の牝馬(それもG1勝ち馬が中心)は繁殖用にもう何頭も輸入されているが、芝の勝ち馬を探すのは難しい。手元の繁殖牝馬名簿では、ノーザンファームが輸入したタピッツフライ(2007年生まれ、芦毛)が、芝のG1ジャストアゲームS(8F)、G1ファーストレディS(8F)など、芝の8F前後で7勝しているくらいで、輸入種牡馬のクリエイターIIを筆頭に、ラニ、さらにはテスタマッタも、北米の勝ち星も日本での勝ち星も、ダート戦に集中する。
だが、いかに典型的なダート血統でも、優れた種牡馬は芝向きの産駒も送らないと、とりあえず世界の種牡馬とはならない。とくに日本では,サンデーサイレンスやブライアンズタイムではないが、競走成績はダートでも、芝向きの産駒も多く輩出しないと、「芝はもちろん、実はダートでもあまり成功しない」という歴史がある。
外国産馬ラビットランは、ダート1400mの新馬を独走して勝ったが、2勝目は初芝の中京1600mだった。置かれて4コーナーでは16頭立ての最後方だったが、上がり「33秒0」で猛然と差し切っている。最後「11秒1-11秒6」のレースで、直線だけで15頭を差し切ったので、推定「10秒8-10秒8」の爆発力であり、直後のローズS1800mも後方から突き抜け、そのあとエリザベス女王杯を制するモズカッチャンを差して「0秒7」も引き離している。この馬の直線は推定「10秒9-11秒0」である。平坦コースで超スローを追走しての数字ではない。Aランクのオープン馬でなければ不可能な切れ味である。
重馬場の秋華賞は残念ながら4着にとどまったが、この牝馬、トランポリンの上を飛び跳ねるようなフットワークと形容されている。重馬場が下手だとか、こなすとかではなく、まるで良さが発揮できない馬場での4着だった。
良馬場の芝の1600〜1800m【2-0-0-0】。55キロのトップハンデは当然の負担重量だろう。GIIIのここでは取りこぼして欲しくない。ミスパンテール、フロンテアクイーンが相手本線。穴馬は、内枠を引けたオートクレール。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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