2018年01月19日(金) 18:00
◆このままオープンに出世なら大変な注目馬に
4歳牡馬フェニックスマーク(父シニスターミニスター)は、ここまでダート1800mだけに出走し【3-2-0-0】。それも、骨折で半年、球節不安で約半年。2回の長期休養をはさみながらの540キロ台の大型馬だから、今回勝ってこのままオープンに出世するようだと、大変な注目馬の出現となる。
1戦ごとに時計を短縮している。前回の1000万下の1分52秒5は一見しただけではさして目立たないが、5回中山のダート1800m全「28レース」中の2位。前日のオープン特別より0秒5遅いだけ。休み明けで格上がりのレースながら、1600万特別2Rを上回り、1000万条件の特別2Rを1秒5前後も上回っていた。昇級初戦でも通用の可能性大である。
魅力は秘める不思議な血統背景にもある。いま北米の種牡馬界の主役タピットや、このフェニックスマークの父シニスターミニスターなどは、無敗の3冠馬シアトルスルー(その3代父ボールドルーラー)系大復活の起点の種牡馬となったA.P.インディ(父シアトルスルー)から再発展したサイアーラインに属する。
A.P.インディは、怪物3冠馬セクレタリアトの牝馬に、同父系の3冠馬シアトルスルーを交配することによって、ボールドルーラーの「4×3」を意図した。かつ、A.P.インディにはセクレタリアトの母のサムシングロイヤルが、種牡馬サーゲイロード(日米で巨大父系を築いたヘイルトゥリーズン系)の母としても入っていたため、サムシングロイヤルの「5×3」のクロスも受け継いで大成功した背景があった。
フェニックスマークは、父方の3代前がA.P.インディであり、ここは意図的な配合に決まっているが、3代母ジュエルドクラウンもまた、セクレタリアト牝馬にシアトルスルーの配合の牝馬である。いまや大変な名種牡馬となったA.P.インディの父系に、そっくり同じ配合形の牝馬を重ねている。母の父となって甦ったシンボリクリスエスの母の父は藤沢調教師の好むシアトルスルー系なので、日本ではかなり珍しいと思えるシアトルスルーの「4×5×4」まで成立している。
なおかつ、ジュエルドクラウンの母はシックスクラウン。日本でも良く知られるチーフズクラウン、ゴールデンカラーズ、ディープスカイ、リーチザクラウン、タップダンスシチーなどで知られる名門牝系である。
フェニックスマークがやがてオープン馬となって重賞レースで快走するようになるとき、その血統図は再三再四、画面に開かれることになるが、ちょっと先取りしたい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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