2018年05月11日(金) 18:00
◆混戦模様のレースなら、外枠のほうが好走例は多い
ロングランの2回東京はこのところずっと、1週目〜3週目が「Aコース」、4週目〜5週目に「Bコース」に移り、日本ダービーの6週目は「Cコース」になる。
Bコース(内ラチが3m外へ移動)になった今週は、向こう正面の直線が短いコース形態からしても、内枠の馬有利と推測されるが、過去5年も、10年間のトータルでも、その年の出走数の「真ん中より外枠」の馬の成績が断然いいのである。
理由は推測するしかないが、先週のNHKマイルCと同じで、GI級が複数いるようなハイレベルのレースでは、内外の芝状態に差がない限りコースロスのない内枠の馬不利は生じない。ふつうは有利である。
だが、3歳戦や、外からプレッシャーをかけられてひるむようなレベルだと、多頭数になるほどもまれることのない外枠の馬が有利に転じる。京王杯SCは、一応は古馬のトップクラスに近いが、実は今年も3歳以上のGIを勝っているのはセイウンコウセイ(それも1200mの高松宮記念)ただ1頭だけ。とても全体レベルが高いとはいいにくい。
この頭数の出馬表を見ていると、どうしてもコースロスが生じること必至の外枠を軽視したくなるが、同じような能力の馬同士だったら真ん中より外の馬のほうがはるかに(ずっと)好走例が多いことを思い起こしたい。NHKマイルCが示したように内枠の馬はぶつかったり交錯したり、進路がなくなるからだ。
ただ、伏兵、穴馬は外枠にいるとしても、中心は枠に関係なくグレーターロンドン(父ディープインパクト)。5歳の昨年は爪不安などで順調さを欠き、3カ月の休養明けになりながら、わずか7戦(オープンクラスは2戦目)のキャリアで挑戦した「安田記念」を、スタートで出負けしながら馬群を割って突っ込み、勝ったサトノアラジンから0秒1差「首、首、首」の4着。1分31秒6だった。パンとした状態なら、初重賞挑戦でGI制覇、あるいはGI連対があったのではないかと思わせた。
そのあとも決して脚元の不安完全解消というわけではないが、今回は1週前に長めから追って仕上げたあと、今週の最終調整がうまくいったあたり、良くて9分と思えた昨年の安田記念時より今回の方が満足できる状態に近い。素質馬の能力発揮に期待したい。
母はファレノプシスの桜花賞2着馬。4分の3姉ダイワエルシエーロ(父サンデーサイレンス)は、スイープトウショウを封じた2004年のオークス馬。底力を秘める。
案外すんなり行けそうなセイウンコウセイと、1400mベストのダンスディレクターが強敵だが、穴馬は外のビップライブリーと、16年のこのレースを上がり32秒7で突っ込んだ記録のあるアイライン。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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