【御神本訓史騎手(2)】ケガを押してでも乗り続けた名馬・フジノウェーブ

2018年06月18日(月) 18:01

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▲「あれね、やりすぎですよね(笑)」御神本騎手が思わず照れ笑いしたフジノウェーブとの思い出は(撮影:榎本良平)

『俺たちTCKジョッキーズ』6月は御神本訓史騎手。デビュー2年目で益田競馬リーディングに輝いた若き天才騎手に競馬場の廃止という問題が襲いました。寂しい気持ちを切り替え、TCKへ移籍した御神本騎手。移籍当初こそなかなか慣れることができなかったと話しますが、2007年にはフジノウェーブで地方馬初のJBCスプリントを制覇します。しかし、そのレース直後「恥ずかしいですよね(笑)」と照れ笑いをする出来事が…。さらに、衝撃的な強さで桜花賞(浦和)を制覇したプロミストリープのお話も伺いました。(取材・構成:大恵陽子)


フジノウェーブとの出会いに「僕はすごく幸せ」

――益田競馬が廃止になり2002年秋にTCKに移籍。当初は多頭数のレースになかなか慣れることができなかったとおっしゃっていました。そんな中、翌年には落馬により大怪我をされました。辛かったのではないですか?

御神本 脳挫傷とくも膜下出血でした。そんなに深く考える方ではないので、起きてしまったことは仕方ないと思い、リハビリとトレーニングにすごく励みました。

――2006年には東京シティ盃をベルモントファラオで勝利し、南関東の重賞初制覇となりました。おめでとうございます。

御神本 移籍して初めての重賞だったので、やっぱり感慨深いものはありましたね。でも、そんなに人気をしていなかったので、「あ、勝ってしまったな」という印象の方が強いかもしれないです。

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▲06年東京シティ盃で南関東重賞初制覇

――人気薄だとそういった感情になるんですね。翌年にはフジノウェーブでJBCスプリントを制覇された時はどんなお気持ちでしたか?地方馬初のJBC制覇でした。

御神本 あの時もあまり人気をしていなかったので、「勝っちゃったな」って印象が強いんです。でもやっぱりね、JBCはなかなか地方馬が勝つことがなかったレースなので、本当に嬉しかったですね。道中はインコースを通ることができて、手応えも抜群でした。直線に向くと、いい所が空いたんです。「あ、これは!」と思い追っていたら、「勝っちゃった」って感じでした。

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▲07年JBCスプリント、地方馬によるJBC制覇は史上初の快挙だった

――南関東の重賞初制覇に続き「勝っちゃった」だったんですね(笑)。ゴール後は何度もフジノウェーブの首筋をポンポンと愛撫していて、喜びが伝わってきました。

御神本 あれね、やりすぎですよね(笑)。しつこくて、恥ずかしいくらいです。でも、それだけ嬉しいっていう気持ちの表れだったんでしょうね。あの馬にはすごくいろんなことを勉強させてもらいました。ファンもすごく多い馬でしたよね。

――フジノウェーブとの思い出で印象的な出来事は何ですか?

御神本 JBCスプリントを勝つ前なんですが、10連勝でマイルグランプリ(2007年)を勝った時、僕は前の開催でケガをしてしまって肋骨が折れていたんです。でも、フジノウェーブの10連勝がかかっているマイルグランプリがあったんで、何とかテーピングで固めて乗りました。そんな思い出もあって、フジノウェーブにはすごく思い入れがあります。フジノウェーブ記念ってレースに冠名もつくくらいの偉大な馬です。なかなかああいう馬と巡り会えませんから、僕はすごく幸せだと思います。

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▲「なかなかああいう馬と巡り会えませんから、僕はすごく幸せだと思います」

――ここまで何度か「勝っちゃった」という表現が出てきましたが、御神本騎手がご自身で「決め打ちで勝てた!」と感じる会心のレースは何ですか?

御神本 最近だとプロミストリープの桜花賞(浦和)ですかね。勝たせなきゃいけない馬でもありました。ただ、浦和の雨馬場で痛恨の出遅れをしてしまったので、内でじっと我慢して、直線だけで前の馬を捉えることができました。我ながら上手く乗れたような気がします。4コーナーを回って直線半ばくらいではもう他の馬と脚色が全く違ったので「あぁ、よかった〜」と思いました。

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▲18年浦和桜花賞、出遅れも脅威の末脚で逆転勝利(撮影:武田明彦)

――南関東一冠目の桜花賞を衝撃的な勝ち方を決めましたが、二冠目の東京プリンセス賞は残念ながら2着でしたね。レースはいかがでしたか?

御神本 一冠目・桜花賞の衝撃もすごかったですけど、二冠目・東京プリンセス賞の負けの衝撃も結構デカかったんで、何とも言えないんですけどね…。でも、本当に能力の高い馬なので、しっかり仕事しなきゃいけないなって意識は常に持つようにしています。桜花賞の前に外厩へ調教に乗りに行ったんですが、賢くて理解力が高い馬だと思いました。ただ、東京プリンセス賞は初ナイターで馬もすごくイレ込んでしまったかな、と。生き物なのでね。まして牝馬なので、神経質な面が出てしまったのかな!?っていうのはありますし、競馬に絶対はないと改めて思い知らされました。僕自身、競馬の難しさを再認識したレースでしたね。

※次回の掲載は6月25日(月)18時予定です


6/27(水)帝王賞当日、大井競馬場に藤田ニコルさん、川栄李奈さん、吉谷彩子さんが来場!

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▲(左から)TCKのイメージキャラクターを務める藤田ニコル、川栄李奈、吉谷彩子

 6月27日(水)の帝王賞(JpnI)当日に、今年のイメージキャラクターの藤田ニコルさん、川栄李奈さん、吉谷彩子さんが来場します! 帝王賞の表彰式プレゼンターを務めていただくほか、トークショーにもご登場いただきます!

●実施日

6月27日(水)

●トークショー

時間:18時50分頃〜

場所:賞典台

●表彰式プレゼンター

時間:20時10分頃〜

場所:賞典台

 このほかのイベント情報は【TCK公式サイト】をチェック!

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TCK取材班

大井競馬に所属するジョッキーの取材を担当。TCK(東京シティ競馬)・大井競馬場の魅力を余すことなくお届けします!

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