ゼッケンの再利用でバッグを製作している“びわこみみの里”を取材しました!

2018年08月07日(火) 18:00

職人

聴覚障害者福祉施設・びわこみみの里製作のゼッケンバッグ


耳が聞こえる人も聞こえない人も、一緒に取り組む仕事に感動

 夏競馬も後半に入ってきましたね。全国的に災害も起きていますが、皆様のお家は大丈夫ですか?台風も近づいていますので万全の対策をして、気をつけてください。

 酷暑に耐えながらの第100回高校野球記念大会も始まり、暑い熱い熱戦が行われています。

 競馬界でも熱い戦いが札幌・新潟・小倉で行われていますね。良血馬が次々デビューして盛り上がり、秋競馬も楽しみになってきました。

 小倉記念(G3)は1番人気が勝てないジンクスが13年ぶりに破られました。トリオンフ号が抜群の脚いろで抜け出し、圧巻のレコードタイムで勝利。サマー2000シリーズでも2位に浮上してきました。

職人

圧巻のレコードタイムで小倉記念を制したトリオンフ (C)netkeiba.com

 やっぱり豊騎手はなんかやってくれると思っていましたが、その印象がさらに強くなりましたね。

職人

(左から)プレゼンターの竹内涼真さんと、武豊騎手 (C)netkeiba.com

 この日は俳優の竹内涼真さんがプレゼンターを務めるために競馬場に来られて、人気殺到。豊騎手は「(竹内さんの)人気に負けないように頑張ります」とユニークなコメント。トリオンフについては「もっと大きいとこでもやれる。秋が楽しみ」とコメントしていました。

***

 今日はちょっと違った目線で、競馬を楽しんでいただこうと思います。

 競走馬の背番号とでも言うべきゼッケンについて取材しました。トレーニングセンターでは毎年10月に全部交換されます。

 栗東トレーニングセンターでは、緑・黒・白、美浦トレーニングセンターでは黄色が使われています。ゼッケンは1リットルのペットボトル6本で作られているそうです。

 廃棄処分になったゼッケンの再利用で、ゼッケンバッグを作っているところがあるんですよ。障害者施設でそれぞれ作業が行われています。

職人

ゼッケンバッグに、バッグインバッグもセットで

 みなさんの近くに耳の聞こえない人はいますか?聴覚障害の方の生活を知っていますか?

 僕は落馬事故から高次脳機能障害になりリハビリでいろいろな施設を探していましたが、高次脳機能障害者を受け入れてくれる施設はありませんでした。

 そんな時、びわこみみの里を知りました。体の左側に麻痺があるため、手話で会話することで左が少しでも動くようにという思いから通所を始めました。

 声が聞こえないことにトラブル山積みの毎日でしたが、意思疎通の仕方など教えていただき、少しずつお互いが認め合うことができるようになりました。聞こえる人も聞こえない人も関係なく一緒に取り組む仕事に感動しました。みんな活き活き仕事し、地域に貢献してます。

 真っ先にトラブったのが…例えばトイレの使用時は赤色が表示されます。「トントン」とノックをしても聞こえないことから改良されたんですよ。ちょっとしたことに気づかなかった自分が、恥ずかしかったです。

 大きな声で「トイレ行ってきまーす」と言っても「つねちゃんまたさぼって仕事しないでどっかへ行ったわ」なんて言われていましたが、肩にトントンと合図をして、指でトイレを表現することで、解決していきました。

 ゼッケンを再利用し色んな形のバッグを作ってることを知りました。ゼッケンで何か作れないか?試行錯誤の中から生まれたのがsteedゼッケンバッグです。

職人

こちらはゼッケンバッグならぬ、ゼッケンリュックサック

 まずは1年使ったもので汚れがひどいので、何回も洗います。若竹作業所、大きな木作業所、みみの里で縫製ミシンかけする人、仕上げ担当、ネット販売担当など作業を分担して、販売まで行っています。

職人

手際よく作業するみみの里スタッフの皆さん

職人

パンフレット完売シールの作業中。皆さんで膨大な作業をされています

 ゼッケンは約6000枚くらいあるそうです。白・黒のゼッケンは馬名のアイウエオ順に番号がついています。ゼッケン番号を見るとどこの厩舎の○○馬と分かるようになっています。

職人

ゼッケンバッグの残り布で作られた可愛い馬マスコット(写真映り悪くてごめんなさい)

 好きな馬の番号を見つけられたらラッキーですよね。世界に1つだけの、自分だけのオリジナルバッグを見つけてください。

職人

ゼッケンの数字をそのまま生かしたバッグ。好きな馬の番号を見つけたらラッキー!

 取材に協力してくださったみみの里の所長はじめ、スタッフの皆さん、ボランティア活動されているみなさん、ありがとうございました。

 僕は難しい作業に関わることはできませんが、販売にほんの少しだけ貢献出来たらいいなーと思っています。

職人

こちらはゼッケン型名刺。実は僕もここのスタッフの一員なんです

 購入された方の希望があれば騎手のサインもいただけるので、喜んでもらっています。いつでも言ってくださいね。

 先日トレセン取材の時、ラッキーな番号、999や001をみつけました。有名厩舎の馬でしたよ。競馬ファンならではの楽しみ方を満喫してくださいね。ラッキー番号をゲットし、ラッキーな馬券も楽しんでください。

職人

▲▼トレセンツアーの時も取材の時も、ゼッケンバッグを使ってます!

職人

***

 次回は、ゼッケンの秘密のうんちくをお話しします。楽しみに待ってください。

 まだまだ猛暑が続きます。暑さ対策をして競馬場へお出かけください。

つねちゃんこと常石勝義でした。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

関連情報

新着コラム

コラムを探す