2018年09月04日(火) 18:00
◆地方出身のフリオーソ産駒に、あっぱれ!
先週末でJRAでは夏競馬が終了したが、ホッカイドウ競馬も先週の開催でJRA認定のフレッシュチャレンジ、アタックチャレンジが最後となった。いよいよホッカイドウ競馬の2歳戦線は終盤へ向かう。
今年のホッカイドウ競馬の2歳戦線は傑出馬がいない混戦。栄冠賞こそキャリアの浅い馬たちの争いゆえ、イッキトウセンがデビューから2連勝としたが、その後ブリーダーズゴールドジュニアCでは2着。勝ったイグナシオドーロは、栄冠賞でイッキトウセンの9着に惨敗していた。牝馬重賞ではアークヴィグラスがフルールCとリリーCを連勝しているが、それ以前には栄冠賞で5着、2歳オープンでも5着に敗れていただけに、まだまだこれから二転三転がありそうだ。
むしろ注目されるのは、JRAのコスモス賞を勝って札幌2歳Sでは惜しくもクビ差2着だったナイママだろうか。五十嵐騎手が「(動き出したのが)結果的に早すぎました」とコメントしているが、あくまでも結果論であって、勝ちに行っての結果だけにそれを敗因とするかどうかは難しい。それにしても中央馬なら2着でも賞金加算になるが、地方馬は1着でないと朝日杯フューチュリティS、もしくはホープフルS(牝馬なら阪神ジュベナイルフィリーズ)の出走権を得られないので、まさに大きなクビ差だった。報道によると川崎へ移籍するとのことだが、勝っても負けても、おそらくJRAの北海道シリーズ終了とともに川崎移籍は決まっていたのだろう。
ここまでの門別の2歳戦線では、前述のとおりアークヴィグラスが重賞を連勝したのをはじめとして、例年同様サウスヴィグラス産駒の活躍が目立っている。それは地方競馬全体に広げても同様で、9月3日現在、地方競馬の2歳種牡馬ランキング(賞金および勝利数)上位5位までは以下のとおり。
【賞金順】 サウスヴィグラス 33,984千円 フリオーソ 26,598千円 プリサイスエンド 25,320千円 パイロ 25,055千円 ダンカーク 23,125千円
【勝利数順】(1着-2着-3着-4着以下) サウスヴィグラス 18-11-6-27 フリオーソ 13-8-6-47 タイムパラドックス 11-5-12-14 プリサイスエンド 11-4-9-32 ベルシャザール 10-8-9-63
賞金順でも勝利数順でもトップで、いまだ衰えを知らないサウスヴィグラスだが、残念ながら今年3月に22歳で亡くなったため、産駒がデビューしてくるのは来年、そして再来年と、あと2世代を残すのみとなっている。
この世代の新種牡馬では、ダンカークが賞金順で5位、また勝利数順で5位となっているベルシャザールは出走数の多さが目立つ。そのほか目立った活躍馬を出している新種牡馬には、前述したナイママや、栄冠賞2着ウィンターフェルの父ダノンバラード、ブリーダーズゴールドジュニアCを制したイグナシオドーロの父ヴィットリオドーロ、函館2歳Sで4着と好走したエムティアンの父パドトロワなどがいる。
そして賞金順でも勝利数順でも2位となっているのが、地方出身のフリオーソだ。ここ数年の地方競馬では、カネヒキリ、ヴァーミリアン、スマートファルコン、トランセンド、エスポワールシチーら、ダート黄金世代の産駒が活躍を見せているが、それらと互角に戦ってきた地方出身のフリオーソが、今年3世代目の産駒でもサウスヴィグラスの2位につけているという活躍は“あっぱれ”といえるだろう。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
プロフィール
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