女王の座が近づいたディアマルコ

2018年09月18日(火) 18:00


◆3歳時から狙い続けたGDJのタイトルを獲得出来れば、まぎれもない“あっぱれ”だ

 高知のディアマルコにいよいよグランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズン女王の座が近づいた。最終戦のレディスプレリュード(大井)を前にして、ここまで50ポイント。表彰対象の地方馬で2位となっているジュエルクイーン(25ポイント)に大きな差をつけている。

 一昨年3歳時からGDJのタイトルを狙って積極的に他地区への遠征を続けているディアマルコだが、その3歳シーズンでは船橋のクラトイトイトイと同じレースを3戦し、いずれも2頭で1、2着を分け合ったものの、ディアマルコは2着、2着、1着で惜しくも2位。その年には古馬シーズンにも参戦して3位と健闘した。そして昨年の古馬シーズンでは、兵庫サマークイーン賞(園田)を制し、秋桜賞(名古屋)で2着。しかし最終戦のレディスプレリュードは着外で4位に終わっていた。

 今年、ディアマルコに追い風となったのは、佐賀ヴィーナスC(佐賀)が対象レースとして加わったことがある。古馬シーズン初戦として行われた、その佐賀ヴィーナスCを制すと、地元戦を挟んで臨んだ兵庫サマークイーン賞は3連覇。

 ディアマルコにとって園田競馬場は5戦4勝2着1回と相性抜群だ。そこから中17日で遠征した読売レディス杯(金沢)は、1番人気に支持されるも見せ場をつくれず4着。「レース間隔があまりなかったのでレース前にそれほど攻められなかった」(佐原秀泰騎手)とのこと。

 しかし約1カ月後の秋桜賞では、逃げて直線でも先頭だったスターレーンをゴール前でとらえ、1馬身半差をつけての勝利。これで今年のGDJ古馬シーズンは、西日本が舞台の4戦すべてに出場して3勝。その結果が、冒頭でも触れたとおりのポイント大量リードだ。

兵庫サマークイーン賞(園田)3連覇を達成したディアマルコ

「最終戦で逆転されないように、早いうちにポイントを稼ごうと思って」と、兵庫サマークイーン賞のあとに話していたのは那俄性哲也調教師。GDJの3歳シーズン、古馬シーズンでは、昨年から最終戦にエクストラポイントが加算されるようになった。

 ともに最終戦はダートグレードで、地方馬の中で再先着馬に15ポイント、同2位に10ポイント、同3位に5ポイントが、通常の着順ポイントにプラスして与えられる。仮に地方馬で1着になれば、着順ポイント(20)にエクストラポイントも加算され、一気に35ポイントを稼ぐことができる。

 今回のGDJ古馬シーズン、地方馬の中でディアマルコ(現在50ポイント)を上回る可能性があるのは、ジュエルクイーン(同25ポイント)、スターレーン(同19ポイント)、ステップオブダンス(同18ポイント)、エースウィズ(同16ポイント)まで4頭のみ。

 最終戦のレディスプレリュードにおいて、ジュエルクイーンは3着で地方馬最先着なら合計50ポイントとなり、この場合ディアマルコが出走しなかった場合にのみ同ポイントでも優勝となる。ディアマルコが出走した場合、ジュエルクイーンは1着、もしくは2着で地方最先着の場合に優勝の可能性がある。スターレーン以下の3頭は、1着の場合のみに優勝の可能性が残されるという状況。逆にディアマルコにとっては、ジュエルクイーンが1着だった場合でも、11ポイント以上を加算できれば自力優勝となる。

 ちなみに逆転の可能性がある4頭では、ジュエルクイーンこそ2歳時にエーデルワイス賞(JpnIII)で2着があったが、3歳以降のダートグレードでは一昨年のブリーダーズゴールドC(JpnIII)の4着が最高という成績。スターレーンは昨年の関東オークス(JpnII)12着が唯一のダートグレード出走。ステップオブダンスは昨年の関東オークス(JpnII)で3着だったが、4歳になって出走したエンプレス杯(JpnII)は10着。エースウィズはダートグレード経験なし。いずれも古馬になってのダートグレードでは実績がほとんどなく、それを考えるとディアマルコが優勝する可能性はかなり高いといえそうだ。

 あと裏技的な逆転の可能性としては、ポイント上位のJRA所属馬が地方に移籍してレディスプレリュードで上位に入れば、ということはあるが、さすがにGDJだけのために地方に移籍するということもないだろう。

 ポイント獲得で有利な南関東以外の所属馬がGDJで優勝を狙うには、他地区への遠征は避けて通れず、そうした状況で、しかも遠征には必ず海を越えなければならない高知所属のディアマルコが、GDJの3歳シーズンから毎回、上位に食い込んでいるというのは素晴らしい活躍だ。

 また高知で高額賞金の2歳戦が始まった最初の世代から全国区の活躍馬が現れたということでも大いに評価できる。そんなディアマルコが、3歳時から狙い続けたGDJのタイトルを獲得となれば、それはもうまぎれもない“あっぱれ”だ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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