震災を乗り越えホッカイドウ競馬、再開

2018年09月26日(水) 18:00

生産地便り

25日(火)より20日ぶりにホッカイドウ競馬、再開


一日も早くいつもの賑わいを取り戻して欲しい

 9月6日午前3時過ぎに発生した胆振中東部を震源とする地震は、日高地方中西部にも大きな被害をもたらした。中でも、日高町にある門別競馬場では、場内の配水用巨大タンクが被害を受け、停電と断水によって、競馬開催が2週間以上休止のやむなきに至った。

 6日(木)はもちろんのこと、その翌週の11日〜13日、さらにもう1週後の18日〜20日の計7日間、開催休止を余儀なくされたのであった。停電はともかくも、断水がなかなか解消せず、ようやく元通りに回復したのは15日になってからのことであった。

 それを受けて、ホッカイドウ競馬も、25日(火)より、20日ぶりに再開の運びとなった。ただし、既報の通り、苫東厚真火力発電所が未だ発電量をフルに回復できていない現状に鑑み、25日〜27日は、日中の開催となっている。

 門別競馬場が日中開催を実施するのは、2008年以来10年ぶりのことである。カラリと晴れ渡った26日(水)、久々に競馬場を覗いてきた。

 第1レース発走は10時50分。かつてはこうした時間帯でレースを行なっていたのだが、余りにも久々なので、ひどく勝手が違う。長らくナイター競馬の時間割に慣れ過ぎていたせいで、午前の太陽の下でレースが行われていることが、とても新鮮に感じられる。

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日中開催を実施するのは、2008年以来10年ぶりのことである

 場内には、再開を待ちかねた熱心なファンの姿があちこちに見られたものの、やはりこの時間帯では、さすがに数が少ない。平日の午前中から競馬場に来られる立場のファンは、どうしても限定される。特別に休みを取れた人、旅行の途中で立ち寄った人、一線を退いて悠々自適の年配者、などであろう。とりわけ午前中の場内は、閑散としたものであった。

 ナイターの時にはあり得なかったような方角から、秋の日差しがパドックに降り注ぐ。

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秋の日差しがパドックに降り注ぐ

 季節は今がちょうど良い。朝晩はやや気温が低くなるが、日中は半袖で十分過ごせる陽気だ。改めて、競馬はライブが良いとつくづく感じる。

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競馬はライブが良いとつくづく感じる

 昨日の25日。待ちかねた多くのファンが競馬場に集まり、再開されたホッカイドウ競馬を楽しんだ、という。ただし、入場人員は主催者発表で324人(本場)。馬券売り上げは、1億9164万円と、2億円に届かなかった。

 裏開催は、浦和競馬で、どちらも日中開催となったため、売り上げが伸びなかったものと推測される。タラレバの話になるが、もしこれがナイター開催になっていたら、おそらくこの2倍近くは売れたものと思われる。

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一日も早くいつもの賑わいを取り戻して欲しい門別競馬場

 今日、26日は、第11レースに「第18回フローラルカップ(H3)」が組まれているが、南関は浦和から大井へと、2ヶ所を繋いでのリレー開催を実施している。果たして、その中にホッカイドウ競馬がどれくらいの存在感を示すことができるか。

 日中開催は今週のみで、来週10月2日からは、また通常のナイター開催に戻るという。また、オーラスを一週間延期し、11月15日までの開催とすることがこのほど発表された。

 北海道は、10月に入ると、朝晩がめっきりと冷え込むようになり、戸外の活動がだんだん厳しい季節を迎える。毎年、ホッカイドウ競馬の開催終了が近づくにつれて、暖房の恋しい気候になり、かじかむ手を息で温めながらの観戦、撮影になってくる。

 地震は自然災害なので、避けられないことではあるが、全道一斉停電といい、苫東厚真火力発電所ダウンといい、何ともツキがなかったとつくづく感じる。

 堅調に伸びていた馬券売り上げも、今回の開催休止によって、やや勢いを削がれた形になるが、これからホッカイドウ競馬は、オーラスに向けて、交流重賞(エーデルワイス賞、北海道2歳優駿)も控えているし、最終日には道営記念も行なわれる。

 何とか、地震発生前の状態に戻り、いつもの賑わいを取り戻して欲しいと願わずにはいられない。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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