2018年11月24日(土) 12:00
好調はいつまでも続かない、平安無事な状態を頼りにするなという意味の「久安を恃(たの)むなかれ」という言葉と、一度や二度の困難にぶつかってもへこたれるなという意味の「初難を憚(はばか)るなかれ」という言葉が中国の古典にある。正に、ジャパンCに立ち向う各馬にも当てはまる言葉だ。
紅一点の3歳馬アーモンドアイには、これは諸手を挙げて受け入れるわけにはいかないが、6年前のジェンティルドンナと同じ三冠牝馬で、4キロの斤量差を考えれば、その再現を考えるほうが当然かもしれない。絶好調のルメール騎手との信頼関係は揺るぎないし、オークスのあの走りであれば、総合的にレベルも高い。
ジェンティルドンナとの比較では、直前の秋華賞勝利のダメージがあるかどうかで、こちらの方が、タイムも速く厳しい戦いだったことは間違いない。しかし、それを乗り越えて圧巻のケイコができたのだから、ルメール騎手の「フェラーリのイメージ」の言葉を信じるべきだろう。
今年のジャパンCは、世界の一流ジョッキー競演の場となったが、外国馬の参戦が少ない分、これをカバーして余りある。シーズンオフに来日するという傾向は、これからも続くだろう。今年の英ダービーを勝ったウィリアム・ビュイック騎手はゴドルフィンの主戦で、早速ステルヴィオでマイルCSを勝っている。ヨーロッパでゴドルフィンのライバル組織クールモアの主戦、ライアン・ムーア騎手も短期免許で参戦している。彼等の腕でどう導いてくるか注目なのだが、上記3人の他の外国人騎手も、明らかに有力馬に乗っている。
前走の京都大賞典で1年7ヶ月ぶりの勝利をつかんだサトノダイヤモンドにはマジックマン、モレイラ騎手が新コンビを組む。この菊花賞、有馬記念馬を復活させられるか。さらには連覇を狙うシュヴァルグランに騎乗するC.デムーロ騎手がロングスパートして持久戦に持ち込みそうだし、東京は走っているスワーヴリチャードもM.デムーロ騎手が今度はスムーズに運んで本領発揮となるだろうから、豪華な一戦となった。
世界の一流ジョッキーを相手に、日本の内田博騎手、川田騎手がどうレースをリードしてくれるか。「下り坂に向かうきざしは最盛期に現れ、新しいものの胎動は衰退の極に生じる」という言葉を添えておきたい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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