笠松でイタリアン

2019年01月15日(火) 18:00

地方の競馬場内とは思えない、コジャレた店構え

 地方の競馬場では昭和の時代から続いているような食堂やら屋台のようなお店を見るとワクワクするが、笠松競馬場にコジャレたイタリアンぽいカフェができたときには、ほんとうにびっくりした。それは最初に自分で見たわけではなく、誰かがネットにアップしたのを見たのか、話に聞いたのか、今となってはよく覚えてはいない。

 笠松競馬場のスタンド裏には、まさに昭和的な風情の食堂・屋台がズラリと並んでいて、今では残念ながらシャッターを下ろしてしまったお店も多いのだが、正門を入ってその並びのいちばん手前に、カフェ『イルファンティーノ』は、ある。

喜怒哀楽

出現したときは衝撃だったイルファンティーノ

 店舗の正面だけを写真で切り取ると、これが地方の競馬場内とは思えない店構えでしょう。

 あの衝撃はいつのことだったのか、お店の方に聞いてみたところ、オープンからもう16年も経つのだそうだ。うかがったのは昨年11月のことなので、今年で17年ということになるのかもしれない。オープンしたのは2002年だろうか。つい最近だったような気もするが、21世紀になって間もない頃だったと思えばずっと前だったような気もする。

 地方競馬は2001年3月に大分の中津競馬場が廃止になり、2002年の年明けには新潟の県競馬(新潟・三条)、夏には島根県の益田競馬場、さらにその後各地に廃止の波が及んだ。笠松競馬場も2004年にほとんど廃止が決まりかけたところ、すんでのところで存続となり、今に至る。しかしその間、前述のとおりシャッターを下ろした食堂や売店も少なくないのだが、イルファンティーノは変わらず元気に競馬ファンのお腹を満たしてくれている。

 そんなイルファンティーノで、以前に「え?」と思ったことがある。

 メニューに書かれていた『イタリアンスパゲティー』。ちょっと頭の中が混乱した。イタリアンって何? 聞いてみたところ、名古屋あたりではナポリタンのことをイタリアンと言うのだと。

 そして今回の原稿を書くにあたり、あらためてネットで検索してみたところ、関西圏でも喫茶店などのメニューでイタリアンスパゲティーと表記しているお店が多いらしい。さらに。関東の一部には、ケチャップを使わない、塩コショウ味または醤油味のスパゲティをイタリアンとしているお店もあるらしい。そしてさらに話は横道に逸れるが、新潟県の新潟市・長岡市周辺のローカルフードとして、チェーンのファストフード店に、やはり「イタリアン」というメニューがある。これについて書くとまた長くなるので、詳しく知りたい方は「新潟・イタリアン」で検索していただくこととして、閑話休題。

 そういうわけで、久しぶりに笠松競馬場のカフェ・イルファンティーノで食べたイタリアンがコレ。

喜怒哀楽

イタリアンスパゲティー。サラダ・スープのセットで800円

 見ての通り、具材として玉ねぎとウィンナーをたっぷり使ったナポリタン。もちろん粉チーズとタバスコをかけていただきます。単品では600円也。サラダ、スープ(ミネストローネ、味噌汁から選択)を各100円で付けられる。

 イタリアンはまさしく一般的に言うところのナポリタンなのだが、イルファンティーノには、ふわとろ卵のオムライス(これも単品600円)という看板メニューもあって、むしろ「え?競馬場でこんなのが食べられるの?」と思うのは、ふわとろ卵のオムライスのほうかもしれない。名前のとおりたっぷりのふわとろな卵に、ケチャップではなくデミグラスソースがかかっている逸品だ。

 そういえばイルファンティーノには、かつて開運カツバーガーという、競馬場らしい人気メニューがあった。いつの間にかメニューから消えてしまったのがなんとも残念なのだが。何が競馬場らしいかというと、バンズが蹄鉄をイメージしているのだ。注文ごとに揚げてくれる柔らかなヒレカツで、ソースは味噌! ボリュームたっぷの味噌カツだ。復活を願って写真を掲載しておきましょう。

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残念ながら今はメニューにない開運カツバーガー(2013年頃撮影)

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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