日本一の廃競馬場跡

2019年01月19日(土) 12:00

みなさんもぜひ、google mapで確かめてみてください

 先週の当コラムにも書いたように、このたびの馬事文化賞受賞の知らせは、南九州廃競馬場跡巡りの真っ最中に受けました。

 実は私、昔あった競馬場の跡を訪ねる旅にハマっています。今回は、いまだにJRAの育成牧場として名残をとどめている宮崎競馬場と、延岡、鹿屋、南薩の各競馬場跡を歩いてきました。

「それ、浅野靖典さんがやってる『競馬ワンダラー』(グリーンチャンネルで放映されている廃競馬場巡りの人気シリーズ)のパクリでしょ?」はい、まさにそのとおりです。でも、実際のところ、私は浅野さんの番組をほとんど見たことがありません(『廃競馬場巡礼』という本は参考にさせてもらっていますが)。

 浅野さんの旅は、昔このへんに競馬場があった、という場所を“手当たり次第に”訪ね歩いているようですが、私の場合はそこまでいきません。今もなお道路の形状などに競馬場の痕跡が残っているところに限って訪れているからです。

 頼りになるのはgoogleの衛星写真。地図よりも衛星写真のほうが、コーナーの跡と思われる道路のカーブなどがよくわかるんです。

 今まで私がどんなところを歩いてきたか、いくつかご紹介しましょう。カッコ内にキーワードを書いておきますので、みなさんもgoogle mapで検索して確かめてみてください。

 まずは目黒競馬場跡(元競馬場前または元競馬場通り)。ここは“超有名”なのでご存知の方も多いはず。昔のコースの1、2コーナーと向正面に沿った道路が残っています。

 次に明石競馬場跡(藤江駅)と古河競馬場跡(古河税務署)。明石は藤江駅の北側、古河は税務署の東側の住宅街にコース跡と思われる道路が見つかるはずです。

 青森競馬場跡(スーパードラッグアサヒ青森佃店)もいいですよ。キーワードに挙げたお店の周辺に、ほぼ全周にわたってコース跡が残っています。奈良競馬場跡(平城駅)や倉敷競馬場跡(倉敷工業高校)、長岡競馬場跡(乙訓高校)も秀逸です。

 今回訪れた延岡競馬場跡(延岡市塩浜町)は、浅野さんが「超優良物件」と言うだけあってなかなかの“美形”。また、鹿屋競馬場跡(鹿屋市勤労者交流センター)には全国的にも珍しく2本のコースがあったことを物語る道路が残っています(どういう意味かは衛星写真を見ればわかります)。そうそう、南薩競馬場跡(南九州市長田鶏卵)も“芸術的”です。

 何十年も前に廃止された競馬場の跡がいまだに残っていること自体、奇跡なのですが、中でも素晴らしいのは松江競馬場跡(松江市浜乃木1丁目)。競馬場のコース跡に沿って楕円形の道路が作られ、そこに宅地が造成されたので、馬場の全周がそっくりそのまま残っています。ここは“日本一の廃競馬場跡”と言ってもいいでしょう。

 廃競馬場跡巡りは、やってみるとハマりますよ。みなさんもぜひお試しください!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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