【JRA賞特別賞受賞】武豊騎手、前人未踏の4000勝 先輩・後輩が明かす“レジェンド”エピソード

2019年01月27日(日) 18:02

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▲先輩・後輩ジョッキー総勢10名が語る武豊騎手

2018年9月29日、日本競馬史に新たな記録が刻まれました。所縁の“メイショウ”の馬で、武豊騎手がJRA通算4000勝を達成。この前人未到の大記録を打ち立てた功績が評価され、2018年度JRA賞の騎手部門特別賞に輝きました。JRAジョッキーの中でも唯一無二の存在。先輩・後輩ジョッキー総勢10名が、武豊騎手のレジェンドたる所以を明かします。

(取材=大恵陽子、不破由妃子)


熊沢重文騎手(武豊騎手の1期先輩)『ずっとトップにいることは大変』

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 彼は最初からすごかったからね。これだけ成績を残すことも、ずっとトップにいることも大変だと思います。僕は好きで、気がついたらこれだけ長い間、馬に乗っていました。みんなそんな感じだと思いますよ。僕より年上では現役もほとんどいなくなりました。彼は別格。競馬界を引っ張ってきました。彼自身もそういう自負があると思いますよ。


四位洋文騎手『ユタカさんはスペシャル』

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「すごい!」のひと言です。年齢とか関係なく一線で活躍しています。数字を見ていたら、凄さは分かりますよね。ユタカさんに関してはスペシャルだよね。


ミルコ・デムーロ騎手『スペシャルウィークのダービーで』

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 ユタカさんは天才ですね。みんなリスペクトしていますし、僕も若い時からずっと見ていました。初めて日本に来た時、ユタカさんがスペシャルウィークで日本ダービーを勝ちました。それが初めて日本で見たレース。「誰、この人!? めっちゃ上手い!!」と感動しました。スタートが上手いし、ペースも分かっているし、馬のことを分かっています。コンプリート! いい先生で、騎手として必要なものは全て備えていますし、人としてもいい人です。

 プライベートでは洋服を同じお店で買っています。他にも車屋さんもイタリア料理店もユタカさんに紹介してもらいました。初めて日本に来た時から奥さんにも優しくしていただいています。「世界で大好きな5人」のうちの1人がユタカさんです。


小牧太騎手『接戦になったら必ず豊くんを応援』

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 豊くんは20代の頃からスーパースターで、当時は乗り方を真似したり、同じジャケットを買ったりして、憧れてたね。豊くんと初めて飲みに行ったのは、たしか僕がワールドスーパージョッキーズシリーズに参戦したときで、あのときはうれしかったなぁ。僕がJRAに移籍してからは一緒に飲む機会も増えたけど、さすがの武豊も最近は酒が弱くなってきた(笑)。まぁ「小牧さんもね」って言われてしまいそうやけど(笑)。

 とはいえ、弱くなったのは酒くらいで、騎乗フォームも変わらんどころか、いまだに進化しているのが彼のすごいところ。なんせ豊くんは負けん気が強いからね。直接的な言葉ではないけど、話しているとヒシヒシと感じる。やっぱりそういう気持ちがないと、この仕事は続けていけんよね。

 同世代ということもあって、接戦になったら必ず豊くんを応援してるし、実際に豊くんが勝つとうれしい気持ちになる。豊くんももうすぐ50歳になるけど(今年の3月で)、いつまでも刺激的な存在でいてほしいし、同じ50代として、ずっと一緒に戦っていけたら最高やね。まぁそのためには、僕がもっと頑張らなアカンのやけど(笑)。


和田竜二騎手『タケユタカは“武豊”』

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 タケユタカは「武豊」です。みなさんのイメージのまんまの方です。佇まいがすごくて、品格があって横綱ですね。競馬以外でも野球などこなしていたのがすごいなと思います。冷静ですし、「この人、何やってもできるんやろな」って思います。宴会ではユタカさんを巻き込んでスベらせてしまいますけど(笑)。


秋山真一郎騎手『日本人の誇りです』

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 2016年、ネオブラックダイヤでドバイに行った時、3〜4泊したのですが、ユタカさんも来られていてほぼ毎日一緒に行動していました。すごいタフです! 夜にお酒を飲んで僕は2日酔いになったんですが、ユタカさんは翌日もトレーニングをしっかりされていて、また夜には飲みに。僕より10歳上なのに、このタフさですよ。

 レース前夜には「明日、チャンスあるから」っておしゃっていて、実際にラニで勝ったんです。めっちゃカッコよかったです。ジョッキーから見てもカッコイイ方ですね。それに、馬主や調教師など関係者に日本人がいないところからのオファーでフランスでGIを勝っているのもすごいですよね。そんなこと、あります!? ドバイでもデットーリやスミヨンが向こうから寄って来て、ユタカさんにハグしたり挨拶をしていました。日本人の誇りです。


高田潤騎手『ジョッキー仲間への優しさ』

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 僕が所属していた松田博資厩舎(2016年定年解散)の馬によく乗られていたので、ユタカさんの技術やすごさは身近で感じていました。イベントをするにあたっても、ユタカさんが出演するとお客さんも倍くらいになります。技術以外でも偉大だと思います。

 それに、ジョッキー仲間のことをすごく思ってくれています。騎手会長になる前から若手ジョッキーや周りのことをすごく考えてくれていました。結婚式のスピーチもしてくださいますし、少人数の結婚式でも出席してくれます。僕もスピーチをしていただきました。ジョッキーのためなら何でもするよっていうような責任感の強さを感じます。


藤岡佑介騎手『そのすごさはフランスでも』

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 昨年、何人かの若手騎手たちが海外に行って感じたみたいですが、僕もフランスでユタカさんのすごさを実感しました。国内でももちろん感じていましたが、フランスではジョッキーだけでなく厩務員やゲートで馬を引っ張っているおじさんまでもがユタカさんのことを知っていました。日本の競馬=ユタカさんで、「ユタカは元気か?」と何度も聞かれました。

 フランスで一緒に食事をした時、「長くモチベーションを維持するために海外に乗りに行ったりして自分に刺激を与えている」とおっしゃっていました。これだけ長くトップに立ち続けていらっしゃる方ですが、ご本人もおっしゃる「いくつになっても上手くなりたい」という気持ちがすごく伝わってきます。

「海外でどうだったかより、日本に帰ってきてどういう変化があったのかが大事」とアドバイスをいただきました。海外に行ったりしないとなかなかこうしてゆっくりお話する機会もないので、それだけでも行った価値があったと思いました。


小崎綾也騎手『小学生の時にサインをもらって』

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 ジョッキーになる前から成績や活躍等から「すごいな」と思っていましたが、ジョッキーになってからの方が数字のすごさがより分かりました。あそこまでの地位を築いた今でも上を目指される姿勢は、ジョッキーとして持っていないといけないんだなと感じさせられます。

 僕はトレセン育ちで、ジョッキーは武豊さんしか知らないところからスタートしました。小学生の時に帽子にサインをもらって、それをかぶって乗馬苑に通っていました。馬に乗り始めた小学校5〜6年生の頃にはディープインパクトが活躍していましたね。テレビで見ていた人とレースに乗れるなんて、すごいことですし、今でも喋る時は緊張感を持っています。


鮫島克駿騎手『一緒に乗れていることが幸せ』

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 物心がついた時から「競馬=ユタカさん」でした。僕は佐賀競馬場で生まれ育ちましたが、物心ついた時にはユタカさんがビッグレースを勝っていてスターでした。佐賀記念などで佐賀に乗りに来た時、父と一緒にジョッキールームに会いに行ってサインをもらって、部屋に飾っていました。騎手になって、小さい頃に憧れていたスターと一緒にレースに乗れるのは嬉しいですし、吸収できるものはしていきたいです。

 2年くらい前、北海道で同じレースに騎乗した時、レース後にアドバイスをいただきました。その時の騎乗馬が連闘したのですが、ユタカさんに言われたことを意識して乗ったら勝つことができました。4000勝は今後誰にも破られない数字だと思います。僕もですし、みんなのスター。一緒に乗れていることを幸せと思って、その中でも吸収できることはして少しでもスキルアップにつなげていきたいです。

(文中敬称略)

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▲4000勝達成の記念のセレモニー (C)netkeiba.com

【JRA賞受賞にあたっての武豊騎手のコメント】

「ありがとうございます。4000勝を達成したことで、あらためて、これまでを振り返ることができました。応援してくださった多くの関係者の皆様とこれまで騎乗してきた馬たちに感謝いたします。これからも応援をよろしくお願いいたします」(JRA発表)

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