【矢作芳人×藤岡佑介】『海外武者修行を終えた愛弟子・坂井瑠星騎手へ思うこと』最終回

2019年01月30日(水) 18:02

with 佑

▲矢作師との対談、最終回は弟子の坂井瑠星騎手への思い

矢作芳人調教師をゲストにお迎えしての対談も、今回が最終回。最後のテーマは、矢作調教師の昔からの志である「人を育てる」ことについて。オーストラリアで長期武者修行を行った、弟子の坂井瑠星騎手。先月帰国し、日本での騎乗を再開。矢作調教師と佑介騎手の目に、修行の成果はどう映っているのでしょうか。厳しくも愛ある言葉が飛び出します。

(取材・文=不破由妃子)

突き抜けるくらい成功してくれないと意味がない

──矢作先生は、昔から「人を育てる」ことに重きを置いていらっしゃいますよね。それはジョッキーだけではなく、スタッフも含めて。

矢作 意識的にそうしているわけではないんだけどね。まぁ好きなんでしょうね、人が。

佑介 今の時代、ジョッキーを育てようと思う人のほうが珍しいと思いますよ。厩舎の経営という主軸があるなかで、正直リスクのほうが大きいでしょうし。でも、先ほどのお話(前回の記事はこちら)にもあったように、先生は競馬界の未来を見据えて、「日本競馬を盛り上げていくためにはスタージョッキーが必要だ」という意識を早くから持たれていた。言うのは簡単ですけど、なかなかできることではありません。しかも、トップトレーナーの矢作先生が実践することで、より一層、その意義が大きくなる。

矢作 俺はトップトレーナーじゃないけどね。ただ、時代がどう変わろうと、俺は俺だから。昔の人はね、「自分は競馬社会に育ててもらった。だから後進を育てることが恩返し」ってよく言ってたんだよ。その言葉がすごく印象的だったから、ずっとその意識は持っていた。

佑介 僕がデビューしたときに、師匠(作田誠二調教師)もまったく同じことを言ってました。「自分のような人間に調教師免許を与えてくれて、こうして仕事をさせてもらっている。だから、競馬界に恩返しをするために、一人くらいは一人前の騎手を育てたい」って。

矢作 俺もまったく同じ気持ちだね。作田先生もそうだと思うけど、根底にあるのは、やっぱり愛だと思うよ。愛がなかったら、人を育てるなんていうしんどいことはできない。瑠星だけじゃなく、俺はスタッフにもジョッキーにも、みんなに愛を持ってるよ。

佑介 人に対する愛こそが、矢作先生の原動力。

矢作 そうだね。

with 佑

▲矢作師「瑠星だけじゃなく、スタッフにもジョッキーにも、みんなに愛を持ってるよ」

──根底に愛がなければ、減量の恩恵がある所属ジョッキーを1年間も海外に行かせるなんてできませんよね。その瑠星騎手が昨年12月に帰国しましたが、今現在、お二人の目に修行の成果はどんなふうに映っていますか?・・・

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

藤岡佑介

1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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